Gallery

2022年9月

クラリネット四重奏 グリーグ :抒情小品集 第4集 Op.47-3

クラリネット四重奏 グリーグ :抒情小品集 第4集 Op.47-3
メロディー
Lyriske smastykker No.4 op.47-3
Melodie
Grieg, Edvard Hagerup

編成はBbクラリネット3本、バスクラリネットです。
サックス四重奏、金管四重奏、木管四重奏版は発売中です。

ノルウェー色が豊かな名曲をコンサート・ピースなどに、ぜひどうぞ。

クラリネット四重奏 グリーグ :抒情小品集 第4集 Op.47-3
メロディー
Lyriske smastykker No.4 op.47-3
Melodie
Grieg, Edvard Hagerup

編成はBbクラリネット3本、バスクラリネットです。
サックス四重奏、金管四重奏、木管四重奏版は発売中です。

ノルウェー色が豊かな名曲をコンサート・ピースなどに、ぜひどうぞ。

Cl5.jpg
お求めの際はこちらからお願いします。

アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/

参考音源
https://youtu.be/VfZf3dJDevc

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3

グリーグはベルゲンというオスロに次ぐ大都市に5人兄弟の第4子として生まれました。
幼少より母親からピアノを習いはじめ、15歳から18歳までは、ドイツのライプツィヒ音楽院で作曲とピアノを学び、
メンデルスゾーンやシューマンらの影響を受けました。
音楽院を卒業後は故郷ベルゲンに戻り、さらに翌1863年にコペンハーゲンで
ニールス・ガーデ(Niels Gade, 1817年~1890年)から作曲を教わり、国民楽派の影響を受けたと言われています。

彼はノルウェーの民族音楽から着想を得て、国民楽派の作曲家として注目されました。
民族音楽からの深い影響は『ペール・ギュント』第1組曲の第1曲「朝」の冒頭がノルウェーの民族楽器である
ハリングフェーレの共鳴弦を端からつま弾いた時の旋律から始まっていることからもうかがうことができます。
グリーグの肖像は、旧500クローネ紙幣に描かれていました。
グリーグはとても小柄であった。生前は卓越したテクニックのピアニストとしても著名で、自作を携えヨーロッパをたびたび演奏旅行している。晩年のアコースティック録音およびピアノロールが残されており、現在もCDで入手できる。

生地であるノルウェーの旧首都ベルゲンの自然と海をこよなく愛しました。
死後に火葬され、遺言によりトロールハウゲンの住居の下にある湖を望む岩壁に墓が設けられ、一部の遺灰は湖に撒かれました。

グリーグは終世、手のひらに乗るぐらいの小さな蛙の置物や子豚のぬいぐるみを大切にし、
寝る時も一緒だったそうです。演奏会の時は、あがらないように、ポケットの中で蛙の置物をそっと握りしめたそうです。
なお、この蛙の置物と子豚のぬいぐるみはグリーグの家(現在のエドヴァルド・グリーグ博物館)に展示されています。

ちょうどこのグリーグが活躍した時代というのは、当時勢いのあったドイツのロマン派音楽が周辺諸国へと波及し、
それぞれの国の民族的要素と融合した新しい音楽様式が生まれましたが、それを音楽史の中では「国民楽派」と呼んでいます。
その背景には、当時鉄道が整備され人々の移動が容易になったことも関係しているのではないかと思われます。
国民楽派の作曲家たちは、自国の歴史や風物、民謡、民族音楽などを題材にした作品を積極的に作りました。
ロシア、ボヘミア地方、北欧などで様々な作曲家たちが活躍し始めるのがこの時期です。

『抒情小曲集』は、エドヴァルド・グリーグが1867年から1903年にかけて作曲した、全66曲からなるピアノ曲集です。
6~8曲ごとにまとめられて出版され、全10集からなっています。

1867年、《ピアノ協奏曲イ短調 作品16》で一躍有名になったグリーグは、この年から1901年にかけてこの作品集を書き上げました。
抒情小品は生涯にわたって作曲されているため、グリーグの作風、ピアニズム、その変遷すべてがその中にあらわれていて、
作品群の中でも中心的な存在です。
いずれも1分~6分程度の小品で、ステージ用というよりは、主にサロンや家庭で広く親しまれていました。
どの曲にも標題がつけられていて、それぞれの曲に対して、一つの感情、気分、情景が表現されています。

1867年、第1集を発表しましたが、その後ピアノ、作曲、指揮など多忙だったこともあって、第2集が発表されたのは、
その16年後でした。第2集から第10集はある一定の間隔をおきながら続けて作曲されました。
全10巻で、計66曲の作品がおさめられています。

グリーグ : 抒情小品集 第4集 / Lyriske smastykker No.4 op.47

第4集は、第3集の出版からちょうど10年後にあたる1888年に出版された。比較的やさしい技巧で弾くことができた第3集までの作品と比べ、
第4集以降、やや難易度が増しています。また、第3集にみられたような、全曲を通しての内容の一貫性はありません。

1.即興的ワルツ / op.47-1 "Valse-Impromptu":民族的な舞曲のリズムにのせて、どことなく物憂げで神経質なメロディがさまようように奏でられます。
Strettoの部分は即興的で、非常に煌びやかな効果をあげています。全体的に単調にならないよう、ハーモニーの変化を感じて演奏しましょう。

2.アルバムのページ / op.47-2 "Albumblad":なにか輝かしい良き日の思い出を想わせるような、一曲で、技巧的に難しい曲です。
メロディが中心となる主要な箇所と、挿入句的なパッセージの部分とは、効果的に雰囲気を分けて演奏しましょう。

3.メロディー / op.47-3 "Melodie":和音が一定のリズムを保ちながら、伴奏をきざみ、その上を憂いにみちた旋律が延々と歌われていきます。
和音の中で、いかに旋律を音楽的に奏でることができるかが重要です。そのために、伴奏のリズムに推進力をもたせることも大切でしょう。

4.ハリング / op.47-4 "Halling":民族的な和声とリズムの面白さが魅力的な曲です。第2集の〈ハリング〉と同じリズムが用いられています。
5度の音程をシンコペーションのリズムで一定に刻み続けます。時に音量を変化させながらも、このリズムをかなり正しく演奏することが、
曲の雰囲気を出す上で重要です。声部ごとに強迫拍の位置が異なっていることも意識して演奏しましょう。

5.メランコリー / op.47-5 "Melankoli":タイトルが示すとおり、ため息のような旋律が欝欝とした様子で静かに奏されます。
各部によって、支えになっている持続音が変化しているので、これを意識して、色合いを変化させていきましょう。

6.スプリング・ダンス / op.47-6 "Springdans":1975年に出版された《家庭音楽集》の中に既におさめられていた曲を改訂した曲です。
舞曲のリズムが刻まれ、その上を活気に満ちた旋律が進んでいきます。大きな跳躍をみせる技巧的な部分、叙情的な中間部など魅力に富んでいます。
中間部の旋律は、比較的あっさりめに演奏するほうが旋律のもつ性格が活かされるでしょう。
和声的な進行を意識し、主要な音の動きを把握して演奏することも大切です。

7.エレジー / op.47-7 "Elegie":旋律につけられているアクセントは、強く、というよりはテヌート気味に奏されます。
物憂げに繰り返される旋律に対して、下降していく和音の色づけにも心を配りたいところです。
中間部では、装飾音を帯びて増やされた音とともに、抑圧された悲しみも、より増していくように感じられます。

アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/

≫ 続きを読む

  2022/09/20   animato

木管五重奏 マルシェ・ポンティフィカーレ(賛歌と教皇の行進曲)

木管五重奏 マルシェ・ポンティフィカーレ(賛歌と教皇の行進曲)
Marcia Pontificale
Charles Gounod

編成はFl.、Ob.、Cl.2本、Bsn.です。
クラリネット五重奏、サックス五重奏、金管五重奏版は発売中です。

神々しいバチカンの雰囲気漂う作品をコンサートピースのオープニングに、ぜひどうぞ。

木管五重奏 マルシェ・ポンティフィカーレ(賛歌と教皇の行進曲)
Marcia Pontificale
Charles Gounod

編成はFl.、Ob.、Cl.2本、Bsn.です。
クラリネット五重奏、サックス五重奏、金管五重奏版は発売中です。

神々しいバチカンの雰囲気漂う作品をコンサートピースのオープニングに、ぜひどうぞ。

ww5.jpg
お求めの際はこちらからお願いします。

アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/

参考音源
https://youtu.be/M0HIoMOPIak

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3

賛歌と教皇の行進曲(さんかときょうこうのこうしんきょく、ラテン語: Hymnus et modus militaris Pontificalis、イタリア語: Inno e Marcia Pontificale)は
バチカンで国歌に準じて演奏される歌です。通称Inno(賛歌)、教皇歌、教皇行進曲、教皇賛歌とも呼ばれています。

アントニオ・アッレグラ (Inno e Marcia Pontificale、Antonio Allegra) 作詞、シャルル・グノー (Charles Gounod) 作曲の作品です。
シャルル・フランソワ・グノー(Charles Francois Gounod,1818年6月17日 - 1893年10月18日)は、フランスの作曲家です。
ゲーテの『ファウスト』第1部に基づく同名のオペラで有名です。このバチカンの実質的な国歌である『賛歌と教皇の行進曲』を作曲したことでも知られています。
1870年から1875年まで、グノーは戦乱を避けてイングランドに過ごし、のちの王立合唱協会(ロイヤル・コーラル・ソサエティ)の首席指揮者を務めました。
この頃から、グノー作品の多くが実質的に声楽曲や合唱曲となりました。
グノーは後半生において主に宗教曲を手掛けていますが、中でもバッハの『平均律クラヴィーア曲集』第1巻第1曲の前奏曲に旋律をかぶせた『アヴェ・マリア』は有名であり、
『グノーのアヴェ・マリア』と称されています。

《歌詞》
イタリア語版
賛歌
Roma immortale di Martirie di Santi,
Roma immortale accogli i nostri canti:
Gloria nei cieli a Dio nostro Signore,
Pace ai Fedeti, di Cristo nell'amore.
A Te veniamo, Angelico Pastore,
In Te vediamo il mite Redentore,
Erede Santo di vera e santa Fede;
Conforto e vanto a chi combate e crede,
Non prevarranno la forza ed il terrore,
Ma regneranno la Verita, l'Amore.

教皇の行進曲
Salve Salve Roma, patria eterna di memorie,
Cantano le tue glorie mille palme e mille altari.
Roma degli apostoli
Madre e guida dei Rendenti,
Roma luce delle genti, il mondo spera in te!
Salve Salve Roma, la tua luce non tramonta,
Vince l'odio e l'onta lo splendor di tua belta.
Roma degli Apostoli
Madree guida dei Redenti,
Roma luce delle genti, il mondo spera in te!

ラテン語版
賛歌
O felix Roma - O Roma nobilis.
Sedes es Petri, qui Romae effudit sanguinem,
Petri, cui claves datae
sunt regni caelorum.
2
Pontifex, Tu successor es Petri;
Pontifex, Tu magister es tuos confirmas fratres;
Pontifex, Tu qui Servus servorum Dei,
hominumque piscator, pastor es gregis,
3
ligans caelum et terram.
Pontifex, Tu Christi es vicarius super terram,
rupes inter fluctus, Tu es pharus in tenebris;
Tu pacis es vindex, Tu es unitatis custos,
4
vigil libertatis defensor; in Te potestas.
Tu Pontifex, firma es petra, et super petram
hanc aedificata est Ecclesia Dei.
O felix Roma - O Roma nobilis.
教皇の行進曲
:Roma, alma parens, Sanctorum Martyrumque,
Nobile carmen, te decet, sonorumque,
Gloria in excelsis, paternae maiestati
Pax et in terra fraternae caritati
Ad te clamamus, Angelicum pastorem:
Quam vere refers, Tu mitem Redemptorem!
Magister Sanctum, custodis dogma Christi,
Quod unum vitae, solamen datur isti.
Non praevalebunt horrendae portae infernae,
Sed vis amoris veritatisque aeternae.
Salve, Roma!
In te aeterna stat historia,
Inclyta, fulgent gloria
Monumenta tot et arae.
Roma Petri et Pauli,
Cunctis mater tu redemptis,
Lumen cunctae in facie gentis
Mundique sola spes!
Salve, Roma!
Cuius lux occasum nescit,
Splendet, incandescit,
Et iniquo oppilat os.
Pater Beatissime,
Annos Petri attinge, excede
Unum, quaesumus, concede:
Tu nobis benedic.

日本語訳
おお幸福なるローマ おお幸福にして最も高貴なるローマ
おお幸福なるローマ 幸福なるローマ 高貴なるローマ
汝はペトロの王座であり ペトロはキリストの地を得た
汝はペトロの王座であり ペトロは平和の使者なり
我らは常に教皇と共にあり
常に同胞を導く方で在り続けんことを
我らは常に教皇と共にあり
常に同胞を導く方で在り続けんことを
教皇は我らの礎 我らの力
漁師たちよ 汝は天と地を結ぶ羊飼いである
ペトロ 汝は地上におけるキリストの司教であった
波の中に在りし岩よ 汝こそが道標であり真実である
汝こそがキリストの愛なり 汝こそが団結への守護者なり
自由を守る準備をせん 汝の中に全ての権威がある
ペトロ 汝は地上におけるキリストの司教であった
波の中に在りし岩よ 汝こそが道標であり真実である
汝こそがキリストの愛なり
汝こそが団結への守護者なり
自由を守る準備をせん
汝の中に全ての権威がある
おお高貴なるローマよ おお幸福にして最も高貴なるローマよ!

アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/

≫ 続きを読む

  2022/09/19   animato

サックス五重奏 エスコレガンド(滑るように)

サックス五重奏 エスコレガンド(滑るように)
タンゴ・ブラジレイロ
Escorregando, Tango brasileiro
エルネスト・ナザレ

編成はソプラノ、アルト2本、テナー、バリトンです。
木管五重奏、クラリネット五重奏、金管五重奏、鍵盤打楽器とベース四重奏版は発売中です。
「ブラジルの魂そのもの」と讃えられるナザレの音楽を、ぜひお楽しみください。

サックス五重奏 エスコレガンド(滑るように)
タンゴ・ブラジレイロ
Escorregando, Tango brasileiro
エルネスト・ナザレ

編成はソプラノ、アルト2本、テナー、バリトンです。
木管五重奏、クラリネット五重奏、金管五重奏、鍵盤打楽器とベース四重奏版は発売中です。
「ブラジルの魂そのもの」と讃えられるナザレの音楽を、ぜひお楽しみください。

sax5.jpg
お求めの際はこちらからお願いします。

アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/

参考音源
https://youtu.be/vfUtw3MYJpQ

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3

Escorregando, Tango brasileiro  エスコレガンド(滑るように)、タンゴ・ブラジレイロ
 ナザレの作品の中でも人気の一曲です。ハ長調、A-B-C-A形式になっています。延々と続く16分音符の旋律(特にBの部分の連打音の所など)は、
題名通り縦横無尽に流れていく何とも楽しい曲です。Cはヘ長調に転調して、左手の跳躍の広いリズムと右手のオクターブの旋律がとても華やかで、
盛り上がりも最高に達します。テンポを落とさずに上手に演奏するのは技巧的に結構難しい曲です。

「ブラジルの魂そのもの」と讃えられるナザレの音楽を知らずしてブラジル音楽は語れません。
南国ののどかな風光と、アフリカの野性的なエネルギーと、ロマンティシズムが渾然と混じり、甘美で、ちょっぴり切ない独特の音楽が聞こえてきます。
ミニョーネはこう述べています。「私は1917年頃にEduardo Soutoの楽譜店でナザレに会ったことがある。ナザレは自作曲を決して急がず、
カンタービレで弾いていた。彼はこう言っていたよ、『私の作品はあちこちでメチャメチャに弾かれている。みんな速く弾きすぎだ。
特に "Apanhei-te, Cavaquinho" は酷いことになっている。あの曲はゆっくりと、左手はカヴァキーニョを思い浮かべてアルペジオで弾くもんだ』と。」

エルネスト・ジュリオ・ナザレー (Ernesto Julio Nazareth (またはNazare とも), 1863年3月20日 - 1934年2月4日)は、ブラジルのピアニスト・作曲家です。
一生をリオ・デ・ジャネイロで過ごしました。「ブラジル風タンゴ」やショーロなど、国内の民族音楽に影響されたピアノ曲を量産しました。
そのような作曲姿勢から、しばしば「ブラジルのショパン」と呼ばれています。ピアノ以外の音楽教育は学ばなかったため、
残された作品はサロン小品と声楽曲ばかりであり、管弦楽曲や室内楽・カンタータやオラトリオのような分野の大作はなく、作曲技法も必ずしも洗練されていません。
しかしながら、民衆音楽の影響のもとに切り開いた独自の素朴な詩境は、のちにヴィラ=ロボスから、「ブラジルの魂」と称賛されました。
中産階級ながらもあまり豊かでない下級官吏の家庭に生まれ、ショパンを愛する母親からピアノの手ほどきを受けました。
早い年齢でたぐい稀な音楽的才能が認められ、家族ぐるみで付き合いのあったアフロ=アメリカンの作曲家、
リュシアン・ランベールにも音楽の手ほどきを受けました。
1873年に母親が亡くなってからもピアノを学び、間もなく作曲も手がけるようになりました。
最初の出版作品のポルカ『ボセ・ベン・サービ"Voce Bem Sabe"』 (あなたはよく御存知)は、14歳になるまでに作曲・出版されました。
その後は、ショーロの楽士たちとたむろして、敏感で独特なリズム感を身につけました。マシシェ maxixe やルンドゥ lundu 、ショーロ choro 、
アフリカ系住民のダンスなど、さまざまな民族舞曲に影響されました。

長年ナザレーは、映画館オデオン座の待合室でピアニストとして働き、ここで最も有名な作品の一つ『オデオン』を作曲しました。
外国から数少ない音楽家がブラジルを訪問した際、オデオン座のナザレーの演奏を見学したといわれています。

1920年代初頭には、音楽ショップにピアニストとして雇われました。顧客が購入する際に持ち寄ってきた楽譜を見ながら、演奏し、
客の要望に沿うかどうかを確認して見せるのが任務でした。客の中に、ナザレー作品の楽譜を手ずから弾こうとする者がいると、止めさせて、
解釈が誤っていると苦情を言うのが常だったそうです。

ナザレーは、心底からのブラジル人音楽家であり、音楽は楽しまれるべきであるとして、それ以上を望みはしませんでした。
ほとんど独学であり、音楽活動のほとんどは、劇場や映画館の伴奏ピアニストとして、あるいは小劇場のアンサンブルでのピアニストとして、
演奏するのに振り当てられました。
そのような劇場アンサンブルの楽団員の知り合いには、後の大作曲家ヴィラ=ロボスがいて、当時はチェリストとして活動していました。
ナザレーはショーロの発展のおおもとであり、ヴィラ=ロボスは、これに基づき、後に自らの創作活動を繰り広げていったのです。

ナザレーは、ブラジルの民族音楽以外にも明らかに影響されていて、子供時代にむさぼるようにして学んだショパンの影響が中でも顕著です。
また、1869年にきら星のようにリオ・デ・ジャネイロにデビューして、瞬く間にブラジル楽壇を席巻したゴットシャルクの作風もナザレーにはお馴染みでした。
作品には、19世紀ヨーロッパのクラシック音楽の豊かな和声法がこだましながら、ナザレーの生地ブラジルの、シンコペーションをともなう
民族舞曲のリズム法に織り込まれてゆくのが認められます。そのうえ、アメリカ合衆国のラグタイムや初期のジャズの、小気味よいリズム感も健在です。
これらの要素を統合して一つの有機体へとまとめ上げたことがナザレー独自の能力で、結果的には、ピアノ曲のレパートリーだけでなく、20世紀の音楽にも重要な貢献を果たしています。

ナザレーはショパンやその他のヨーロッパの作曲家から霊感を受けたように、逆に自らも、間接的とはいえ、ヨーロッパの作曲家に何かしらの影響を与えています。
フランス人作曲家のダリユス・ミヨーは、自伝の中で、ブラジル滞在中にリオ・デ・ジャネイロの映画館でナザレーがピアノを演奏する風景を回想しています。
ミヨーはその音楽のリズムにたちどころに虜となって、ブラジル音楽をきわめてやろうと決心したというのです。
その最終的な成果こそが、ミヨーのピアノ曲『ブラジルの想い出 Saudades do Brasil』でした。

ナザレーは「ブラジルのショパン」と呼ばれていますが、作品に副題を好んでつけた点で、ショパンとは違っています。
ショパンやフォーレよりもヨーロッパのサロン音楽の伝統に忠実だったといえます。
しかしながら19世紀から20世紀初頭まで、ヨーロッパではサロン小品にフランス語の題名をつける慣習がまだ根強く残っていたのに対して、
ナザレーは母語のポルトガル語に固執しました。
また題名によって、ドビュッシーやラヴェルのように、美術や文学からのインスピレーションをほのめかしたり、
リストのように詩的な連想を暗示することもありませんでした。
ナザレーの曲名には、しばしば第三者にとって謎めいた響きをもつものもありますが、それらは実在するスポーツチームやダンスクラブ、雑誌名など、
ナザレーの日常生活の周辺から切り取られたものばかりです。このような意味で、ナザレーは「ブラジルのショパン」と呼ぶよりは、むしろ
「ブラジルのクープラン」と呼んでこそふさわしいかも知れません。

およそ300曲のピアノ小品において、ナザレーはみごとに、大衆的なブラジル舞曲のエッセンスを捕まえています。
ナザレーは、厳密には都会の聴衆のために作曲したのですが、その作品には、(ブラジルで奴隷制が廃止された1888年以降の作品でも、)
アフリカ系民族音楽の豊かな影響が息づいています。ほとんどの曲に、スコット・ジョプリンが発想したようなシンコペーションが使われています。
ナザレーのピアノ曲には、ブラジルのありとあらゆるダンスが盛り込まれています。マシシ(英語版)、バトゥーキ(英語版)、 サンバ、
そして中でも重要なのがタンゴです。後に世界中を熱狂させ、席巻したタンゴが、ブラジル生まれだったというだけでなく、
実際にはナザレー自身の創り出したジャンルだったという証拠になるからです。
もしそれが間違いだったとしても、「ブラジル風タンゴ」の発展のほとんどにナザレーがかかわっていて、このジャンルに優に100曲を残しています。

最も有名な作品に、『ブレジェイロ(ろくでなし)"Brejeiro"』『アメノ・ヘゼダ"Ameno Reseda"』『バンビーノ(赤ん坊)"Bambino"』
『トラベッス(腕白坊主)"Travesso"』『フォン・フォン"Fon-Fon"』『テネブローズ(暗闇)"Tenebroso"』があります。
ナザレーが初めて「ショーロ」と呼んだ作品のうち、『アパニェイチ・カヴァキーニョ(頑張れカバキーニョ)"Apanhei-te Cavaquinho"』は、
さまざまな楽器アンサンブルによって演奏できる、古典的名作です。

晩年になって完全に聴覚を失うと、創作活動にも支障をきたしましたが、それでもブラジル国内ではなかなかナザレー人気は衰えませんでした。
ゴットシャルクやジョプリンを評価する人たちなら、ナザレーの残した魅力的な宝石たちをきっとたちまち気に入るに違いありません。

作曲者の死後から半世紀を経た近年になって、ナザレー作品を集めたアルバム制作が世界的にも相次いでいて、最近では伝記や、
作曲者に関するCD-ROMも発表されています。ナザレーは、クラシックとポピュラー音楽にまたがって活動したことから、ナザレーのピアノ曲は、
クラシックの学び手にも、ポピュラー音楽の学び手にも、有用な教材とされつつあります。

アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/

≫ 続きを読む

  2022/09/18   animato

金管八重奏と打楽器のための「クリサンシマム(菊)」

金管八重奏と打楽器のための「クリサンシマム(菊)」
The Chrysanthemum
An Afro-American Intermezzo
Scott Joplin

編成はTp.2本、Hn.2本、Tbn.2本、Eup.、Tubaに加えてDrumsです。
Tbn.とEup.は相互に変更して演奏が可能です。
打楽器(ドラムセット)を含めて総勢9名になります。
木管八重奏版、木管五重奏版、金管五重奏版、クラリネット五重奏版、サックス五重奏版は発売中です。

スコット・ジョプリンのラグタイムをコンサート・ピースに、ぜひどうぞ。

金管八重奏と打楽器のための「クリサンシマム(菊)」
The Chrysanthemum
An Afro-American Intermezzo
Scott Joplin

編成はTp.2本、Hn.2本、Tbn.2本、Eup.、Tubaに加えてDrumsです。
Tbn.とEup.は相互に変更して演奏が可能です。
打楽器(ドラムセット)を含めて総勢9名になります。
木管八重奏版、木管五重奏版、金管五重奏版、クラリネット五重奏版、サックス五重奏版は発売中です。

スコット・ジョプリンのラグタイムをコンサート・ピースに、ぜひどうぞ。

b8.jpg
お求めの際はこちらからお願いします。

アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/

参考音源
https://youtu.be/IzjZ8YP5kVI

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3

「クリサンシマム」(The Chrysanthemum)は、1904年にスコット・ジョプリンが作曲したピアノ曲です。
ジョプリンが「2度目の妻 Freddie Alexander に捧げた」とも言われている落ち着いた雰囲気のラグタイム作品です。
クリサンシマムは菊の花の意味です。ラテン語の属名を英語読みにして「クリサンセマム」または略して「マム」と呼ぶこともありますが、
これは種としてのキクを指す場合と、キク属を指す場合とがあります。 属名はギリシア語の "chryso-"「黄金の」と
"‐anthemon"「花」に由来し、菊に黄色い花が多いことによっています。

ラグタイム王スコット・ジョプリン
スコット・ジョプリンはアメリカ黒人が作り上げた音楽スタイル「ラグタイム ragtime」の中で、
最も良く知られている作曲家/ピアニストです。
明治維新の年にテキサス州テキサカーナで生まれ、1917年、ニューヨークで亡くなりました。
1885年から1893年にかけてはセントルイスのナイト・クラブで演奏し、90年代にはミズーリ州のセダリアの
ザ・クイーン・シティ・ニグロ・バンドでコルネットを吹いていました。
93年には、シカゴ万博にも出演しています。

当時のアメリカでは、楽曲はシート・ミュージック(楽譜)の売り買いによって世間に広まりましたが、
ジョプリンも例外ではなく「Please Say You Will」「Picture of Your Face」など自作曲の権利を売っていました。
彼にとって初めてのラグタイム曲となる「Original Rags」(1899年)も同様でした。
しかし、彼の代表作「メイプル・リーフ・ラグ Maple Leaf Rag」は印税契約という、当時の黒人としては異例の方法が取られました。
そして、この契約を申し出たジョン・スターク(白人)と共同歩調を取ることによってスコット・ジョプリンは、
ラグタイムの象徴となりました。
ちなみに「メイプル・リーフ・ラグ」(1899年)のシート・ミュージックは、発売されたその年だけで7万5千部も売れました。
ジョプリンはその後、たくさんのラグタイム曲を出版しましたが、彼の望みはバレーやオペラなど「格の高いジャンル」で
認められることでした。このような彼の意識背景には、アメリカの黒人差別がありました。
ジョプリンはバレー曲「The Ragtime Dance」(1902年)、オペラ「The Guest of Honor」(03年)を作曲しましたが、
ことごとくが失敗に終わりました(「The Guest of Honor」は出版されなかった)。
そうこうしているうちに、ラグタイムに影響され、より黒人色の強いジャズが台頭しきました。
ラグタイムがアメリカ最初の「自国の音楽」として欧米で持て囃されたのは19世紀末から1920年あたりだと言われていますが、
ジョプリンはまさにその短い時代に世に出て、そして亡くなったミュージシャンでした。
1910年頃には彼は梅毒におかされ、17年に亡くなりました。

アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/

≫ 続きを読む

  2022/09/17   animato

クラリネット四重奏 3つの無言歌 Op.17から第3番 Op.17-3

クラリネット四重奏 3つの無言歌 Op.17から第3番 Op.17-3
フォーレ
Faure, Gabriel
3 Romances sans paroles Op.17

編成はCl.3本、Bs.Cl.です。
木管四重奏、サックス四重奏版、金管四重奏版は発売中です。
自然な歌の甘い旋律が魅力的なフォーレの音楽を、ぜひお楽しみください。

クラリネット四重奏 3つの無言歌 Op.17から第3番 Op.17-3
フォーレ
Faure, Gabriel
3 Romances sans paroles Op.17

編成はCl.3本、Bs.Cl.です。
木管四重奏、サックス四重奏版、金管四重奏版は発売中です。
自然な歌の甘い旋律が魅力的なフォーレの音楽を、ぜひお楽しみください。

Cl4.jpg
お求めの際はこちらからお願いします。

アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/

参考音源
https://youtu.be/zkDcsFT0_9M

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3

3つの無言歌
ガブリエル・フォーレ
Gabriel Faure
この曲はフォーレのピアノ作品の出発点ともいえます。メンデルスゾーンの影響を受けたと考えられています。
「ロマンス」と言われることもあります。
ピアノの小品はロマン派時代に花咲きました。性格的小品という、キャラクター・ピースを直訳した名前でひとくくりにされることもありますが、
実際にはそれぞれの小品の種別で呼ばれることがほとんどです。この名前をつけたのはショパンに最も多くの作品があります。
メンデルスゾーンの「無言歌」(原題はLieder ohne Worte)は有名で、さらに「春の歌」や「ヴェニスの舟歌」など
別の標題がついている曲も多くあります。

フォーレの無言歌Op.17 は三曲からなり、メンデルスゾーンの無言歌と似ています。 両手のもつ機能を万遍なく使って、三声を同時に表現しています。
旋律も甘く、自然な歌を表現しています。

この3曲から成る小品集は1863年、フォーレが18歳の頃に作曲されたと考えられています。このフランス語のタイトルは、直訳すると
「言葉を伴わないロマンス」ということになりますが、2曲目にメンデルスゾーンの無言歌集の影響がうかがえることから、《無言歌》と呼ばれています。
1880年に出版されました。初演は、初めの2曲が1881年2月の国民音楽協会でポーリーヌ・ロジェにより、第3曲目が1889年1月の国民音楽協会で
カーサ・シャトルジェ嬢により行われています。

第1番は3曲の中では温和な曲です。バリトン歌手レヴィの夫人にあたるフェリックス・レヴィ夫人に捧げられています。
アンダンテ・クァジ・アッレグレットの変イ長調で4分の3拍子。美しくかつゆったりと歌い上げられる右手のメロディーに、
左手が控えめな和音やエコーを奏します。

第2番イ短調は、4拍子で絶えず奏される無窮動風の音型に爽やかな旋律が載せられています。
ロール・ド・レイリッツに捧げられています。ロール・ド・レイリッツは、フォーレがニーデルメイエ校を卒業後、
レンヌで教会のオルガニストを勤めていた時(1866―1869)に知り合った女性です。アレグロ・モルトのイ短調で4分の4拍子のこの曲は、
3曲の中で最も長く、また、メンデルスゾーンの無言歌集の影響も最も色濃くうかがえます。特にそれは、左手の分散和音に乗って歌われる右手の
メロディーが、時折分散和音と重複する書法で書かれていることに現れています。

第3番変イ長調は、初期のフォーレの作品のなかでとりわけ有名です。子守唄風のリズムに順次進行に基づくメロディーが大きな弧を描きます。
転調を経て最初のメロディーが回顧される個所はごく自然なカノンとなって現れ、曲を盛り上げています。
フローラン・サリオ夫人に捧げられています。第2曲目に引き続き、左手の分散和音に乗って右手のメロディーが優美に歌われます。
冒頭の部分は、《ドリー》の<子守歌>に通じるものが感じられます。メロディーはこの作品の終結近くで再現された際に、
カノンのような手法で巧妙に扱われます。

フォーレはパリのニーデルメイエール古典宗教音楽学校を卒業後は教会オルガニストとして活躍するも、
若い頃のフォーレは態度が悪く仕事を解雇されたり、普仏戦争が勃発し1870年に歩兵隊に入隊する等落ち着かない時期でした。
戦争に勝利し除隊後、パリのサン・シュルピス教会の補助オルガニストとなる。この頃からサン=サーンスのサロンの常連となりました。
ダンディ、ラロ、デュパルク、シャブリエ等と知り合い、1871年発足の国民音楽協会のメンバーとなりました。
以後フォーレの作品はこの協会の音楽会で初演されています。
74年マドレーヌ教会オルガニストに、77年合唱長になりました。

フォーレはリストに出会い、各地を旅してワーグナーのオペラの多くを観て熱中するも、影響を受けることはありませんでした。
83年結婚。85年父の死をきっかけに「レクイエム」に取りかかりました。ほぼ完成した88年に母が亡くなり、完成は1900年に持ち越されました。
合唱長の仕事と個人レッスンのため、作曲は夏期休暇中に限られました。
1877年、5年の交際を経て婚約するも一方的に破棄され、フォーレは深刻な精神的打撃を受けました。
この時期の作品としては、ヴァイオリン・ソナタ第1番作品13、ピアノ四重奏曲第1番作品15、バラード作品19などがあります。

彼は幼少で父が校長をしていた師範学校の教会でハーモニウム(オルガンの一種)を即興的に演奏しました。
10歳でパリのニデルメイェール学校に入学。音楽と宗教教育を特徴とする学校で、11年間ピアノ、オルガン、作曲等を学びました。
1861年からサン=サーンスにピアノを学びました。シューマン、リスト、ワーグナー等当時最新の音楽作品についても講述し、
生涯にわたる友情を築きました。

1892年6月マドレーヌ教会の主席オルガニスト、同年10月パリ音楽院作曲家教授に就任しました。
この頃から演劇音楽を作曲しました。1898年にはメーテルランク作「ペレアスとメリザンド」の劇付随音楽が初演されました。
後に管弦楽による演奏会用組曲に編曲されて広まりました。
ピアノ作品も素晴らしく、作曲家として名声を高めました。
1905年、パリ音楽院の院長に就任。
1907年頃から難聴に悩まされ、次第に聴力を失いました。
第一次世界大戦(1914?1918年)中も音楽院院長としてパリに留まり、作曲家としても重要な作品を生み出しました。
1920年院長の職を退きました。
79歳で亡くなり、国葬をもって遇されました。
弟子にラヴェル、ケックラン、フロラン・シュミット、デュカス、ナディア・ブーランジェ等の作曲家が名を連ねています。

アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/

≫ 続きを読む

  2022/09/16   animato

木管四重奏 シューベルト:セレナーデ

木管四重奏 シューベルト:セレナーデ
F.Schubert
Serenade (Standchen)

編成はFl.、Ob.、Cl.、Bsn.です。
金管四重奏、クラリネット四重奏、サックス四重奏版は発売中です。

恋人への苦しい思いを歌った作品をコンサート・ピースなどに、ぜひどうぞ。

木管四重奏 シューベルト:セレナーデ
F.Schubert
Serenade (Standchen)

編成はFl.、Ob.、Cl.、Bsn.です。
金管四重奏、クラリネット四重奏、サックス四重奏版は発売中です。

恋人への苦しい思いを歌った作品をコンサート・ピースなどに、ぜひどうぞ。

ww4.jpg
お求めの際はこちらからお願いします。

アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/

参考音源
https://youtu.be/BNs6n5tpJEQ

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3

シューベルト 歌曲「セレナーデ」

『シューベルトのセレナーデ(Standchen)』は、オーストリアの作曲家フランツ・シューベルト(Franz Schubert/1797年-1828年)によって書かれました。
『白鳥の歌(Schwanengesang)』の第4曲に当たります。

『白鳥の歌』はシューベルトの死後に、出版社や友人たちによってまとめられました。
従って、歌曲集ではありますが曲ごとの繋がりはありません。

歌曲集「白鳥の歌」14曲中、第4曲が「セレナーデ」です。
ドイツでは白鳥は死ぬ前に一度だけ鳴くという言い伝えがあり、シューベルトが亡くなる最後の年の作品です。
シューベルト歌曲の中で最も有名なものの一つで、恋人に対する切々たる思いをマンドリンを模した伴奏の上に歌いあげます。

男性が歌う歌詞で、今の時代では少し気恥ずかしいのですが、素晴らしい歌詞です。
セレナーデは夜のしじまに恋人の窓辺に立って歌う愛の歌。

ドイツ語原文では、夜鳴きウグイスと呼ばれるナイチンゲールの声に例えていますが、
この鳥は、ヨーロッパに住み、冬になると暖かいアフリカへと飛び立ちます。 

叶わぬ恋に咽び泣き、愛おしい恋人を誘い出すのが小夜曲です。
アンデルセン童話の「小夜啼鳥」にナイチンゲールと王様のお話があります。 

鳥の鳴き声で王様の病が治るという、それぐらい巧妙で美しい鳴き声です。
ナイチンゲールはヨーロッパの春を告げ、夕方から夜更けまで鳴き通すのです。 

日本語では堀内敬三の訳詞で歌われており、艶めかしさたっぷりです。
ロマン溢れる感傷的な歌詞は、今の時代では作ることは難しく、見事な名文です。 


日本語 歌詞  堀内敬三 訳詩
 
秘めやかに 闇をぬう 我が調べ
静けさは 果てもなし 来よや君
ささやく木の間を もる月影 もる月影
ひとめもとどかじ たゆたいそ たゆたいそ

君聞くや 音にむせぶ夜の鳥
我が胸の秘め事を そは歌いつ
鳴く音に込めつや 愛の悩み 愛の悩み
わりなき思いの かの一節 かの一節

深き思いをば君や知る
わが心 さわげり
待てるわれに 出で来よ君
出で来よ

ドイツ語歌詞  Standchen (セレナーデ)  作詞:ルートヴィヒ・レルシュタープ 

Leise flehen meine Lieder               僕の歌は夜の中を抜け
Durch Nacht zu dir;                       あなたへひっそりとこう訴えかける。
In die stillen Hain hernieder,           静かな森の中へと降りておいで、
Liebchen, komm zu mir!                 恋人よ、僕のもとへ!

 
Flusternd schlanke Wipfel rauschen 細い梢が月の光の中で
In des Mondes Licht;                      ささやくようにざわめいている。
Des Verraters feindlich Lauschen     裏切り者の意地悪い盗み聞きを
Furchte, holde, nicht.                      怖がる事はない、優しい人よ。

 
Horst die Nachtigallen schlagen?     ナイチンゲールの声が聞こえるかい?
Ach! sie flehen dich,                       ああ!それはあなたに訴えている。
Mit der Tone susen Klagen              甘い嘆きの音色で
Flehen sie fur mich.                        僕の代わりに訴えているんだ。

 
Sie verstehn des Busens Sehnen,   ナイチンゲールはこの胸の憧れ、
Kennen Liebesschmerz,                  愛の苦しみを知っていて、
Ruhren mit den Silbertonen            その銀色の音色で
Jedes weiche Herz.                         やさしい心を揺さぶるんだ。

 
Las auch die Brust bewegen           どうかあなたも胸動かされ、
Liebchen, hore mich!                      恋人よ、僕の願いを聞きいておくれ!
Bebend harr' ich dir entgegen!        僕はあなたの前で身もだえ、待ちわびているんだ!
Komm, beglucke mich!                   来て、僕を幸せにしておくれ!


 <セレナード>の訳語「小夜曲」はあまり見かけません。
意味するのは、男性が思いを寄せる女性の家の窓辺で夕暮れにうたう歌や器楽でうったえる音楽のことです。
朝方ならフランスにオーバードaubade、イタリアに<マティナータ>があります。
夕べの情緒と若々しい愛情を歌いあげた歌曲です。
この<セレナード>はシューベルトの没後に編まれた歌曲集『白鳥の歌』14曲のなかにあり、
楽譜を見ると曲名はStandchenシュテンチェンとあります。これが<Serenade>の原題です。
ドイツリート[歌曲]というジャンルは、シューベルトが1814年17歳のとき作曲した<糸を紡ぐグレートヒェン>で
確立したといわれます。彼は1828年に31歳で亡くなりますが、短い生涯でたくさんの音楽作品を残します。
なかでも「歌曲王」とよばれるように、このジャンルが多く名曲ばかりです。

 シューベルト没年の作品<セレナード>は、歌曲集に7曲あるルートヴィヒ・レルシュタープの詩によります。
ハインリヒ・ハイネの詩は6曲あり、なかに<海辺にてAm Meer>があって、
字面から独語オンチにはシャンソンのLa Mer(仏語)のように明るい地中海を想像させますが、
ドイツリートのほうは北の暗い海でしょうか、夕暮れの海辺での悲恋をうたった歌のようです。

ハイネはシューマンの歌曲集『詩人の恋』などで知られますが、レルシュタープにはスイスの
ルツェルン湖で舟遊びをしたとき波間に映る月影をながめベートーヴェンのあのピアノソナタを思い浮かべて
「月光」と名づけた、という逸話が残いってます。シューベルトは異性にたいし内気で善良で消極的でした。
彼は「愛を歌うと悲しみになり、悲しみを歌うと愛になった」というのです。
彼の生涯を知るには、映画『未完成交響楽』1935、『シューベルト?未完の旅路』53、
『三人姉妹の家』54があります。

 シューベルトが作曲した歌曲は約600曲といわれます。
 シューベルトなら交響曲、管弦楽、五重・四重・三重などの室内楽、ヴァイオリン・ピアノほかの器楽曲など、
やはりすべて美しい作品です。
 セレナードはドイツだけではありません。イタリアにトスティの歌曲<セレナータ>があり、
シャンソンにはフランシス・ロペス作曲の<パリのセレナーデ>があります。
ティノ・ロッシが映画『Paris chante toujours』1952のなかで若い娘に寄り添い歌いかけています。

アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/

≫ 続きを読む

  2022/09/15   animato

サックス五重奏 メンデルスゾーン 無言歌集 第1巻 「信頼」 Op.19-4

サックス五重奏 メンデルスゾーン 無言歌集 第1巻 「信頼」 Op.19-4 U 73
Lieder ohne Worte Heft 1 "Confidence" A-Dur Op.19-4 U 73
Mendelssohn, Felix

編成はサックスのソプラノ、アルト2本、テナー、バリトンです。
金管五重奏版、クラリネット五重奏版、木管五重奏版は発売中です。

可愛らしくもロマンチックで優美なメロディーを、ぜひお楽しみください。

サックス五重奏 メンデルスゾーン 無言歌集 第1巻 「信頼」 Op.19-4 U 73
Lieder ohne Worte Heft 1 "Confidence" A-Dur Op.19-4 U 73
Mendelssohn, Felix

編成はサックスのソプラノ、アルト2本、テナー、バリトンです。
金管五重奏版、クラリネット五重奏版、木管五重奏版は発売中です。

可愛らしくもロマンチックで優美なメロディーを、ぜひお楽しみください。

sax5.jpg
お求めの際はこちらからお願いします。

アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/

参考音源
https://youtu.be/k2zy0Aa24MU

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3

『無言歌集 Lieder ohne Worte』は、メンデルスゾーンが生涯にわたって作曲したピアノ独奏のための作品集です。
全8巻からなり、各巻6曲ずつで合計48曲が収められています。
メンデルスゾーンのピアノ作品として最も有名で、しかもロマン派の教材として取り上げられることの多いのが「無言歌集」です。
ワーグナーが「第一級の風景画家」と言ったように、メンデルスゾーンは情景描写や標題音楽の作曲において才能を発揮しています。
この“言葉のない歌曲”、「無言歌」、という形でメンデルスゾーンは心象風景や感情描写までも、表現しました。
歌曲風の旋律をもった器楽曲であるため、旋律線をはっきりと浮き立たせ、抒情的に演奏することが重要です。

メンデルスゾーンが活躍したこの時期、ブルジョアジーの家庭を中心に、ピアノが教養として普及しました。
そのため、家庭で気楽に弾ける作品が多く作られましたが、この《無言歌集》もその一つです。

《無言歌集》は各6曲ずつの計8集からなり、生前に出版されたのは、第6集までです。第7集は、1851年、第8集は1867年に出版されました。
1832年、第1集を出版したときには、メンデルスゾーンは、《ピアノのためのメロディー》と記していて、《無言歌集》の名称を
もつようになったのは1835年に第2集を出版してからのことでした。

標題をもっているものが多いのですが、作曲者自身によってつけられたものはわずかです。
実際、メンデルスゾーンは標題をつけることによって、音楽的な想像力が限定されることを嫌っていたようです。

4曲目の「信頼」は、ないしょの話(内緒話)とも呼ばれています。
曲想が特に優美で温かく親しみやすいことが特徴です。

第1巻

1.ホ長調「甘い思い出」 / op.19-1 (1831)

全体を流れるなめらかな16部音符の上に、抒情的な旋律がうたわれます。

2.イ短調「後悔」 / op.19-2 (1832)

3.イ長調「狩人の歌」 / op.19-3 (1832)

勇ましい狩りの情景がえがかれます。第3曲〈狩人の歌〉という標題は、メンデルスゾーン自身もみとめていたニックネームです。
6曲中最も有名な曲です。

4.イ長調「信頼」 / op.19-4(1829)

5.嬰ヘ短調「眠れぬままに」 / op.19-5 (1831)

ポコ・アジタート、四分の六拍子で情熱的な趣をもつ。無言歌の中ではめずらしいソナタ形式をとっています。

6.ト短調「ヴェネツィアの舟歌 第1」 / op.19-6 (1830)

6曲中メンデルスゾーン自身が命名した唯一の曲です。無言歌曲集には、他に同名の作品が3曲あり、
これらは「ゴンドラ・リート」と呼ばれます。これらの作品は波の上を揺れ動くような動きを特徴しています。

アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/

≫ 続きを読む

  2022/09/14   animato

金管四重奏「G線上のアリア」

金管四重奏「G線上のアリア」
Air On The G String
J.S.Bach

編成はTp.、Hn.、Tbn.またはEup.、Tubaです。
サックス四重奏版、木管四重奏版、クラリネット四重奏版は発売中です。
中編成吹奏楽譜も発売中です。

優雅で美しいバッハの魅力をぜひ味わってください。

金管四重奏「G線上のアリア」
Air On The G String
J.S.Bach

編成はTp.、Hn.、Tbn.またはEup.、Tubaです。
サックス四重奏版、木管四重奏版、クラリネット四重奏版は発売中です。
中編成吹奏楽譜も発売中です。

優雅で美しいバッハの魅力をぜひ味わってください。

b4.jpg
お求めの際はこちらからお願いします。

アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/

参考音源
https://youtu.be/wWVsL4mgBIs

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3

穏やかで優雅で荘厳な美しさに溢れているメロディーでみんなに”G線上のアリア”で親しまれているこの曲は
ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685年から1750年)がおそらくケーテン時代の36才から37才の頃、
管弦樂組曲第3番二長調.BWV1068の第2曲(=エア(アリア))として
書かれたものが原曲となった曲です。
バッハが生きていた時には評判にもならず、バッハが亡くなって100年のちに発掘され
曲を演奏されることによって、ようやくこの曲にスポットライトが当てられました。
まだこの時はほぼ原曲のままだったと思われます。

バッハがヴァイオリニストの地位も確立して来た頃、G線だけで演奏するという事が話題に上っていたようです。
流行にのって1871年にドイツのヴァイオリニストのアウグスト・ヴイルヘルミ(1845年から1908年)が
バッハのアリアを原曲にバイオリンのG線(=テーマメロディがバイオリンの四本の弦の一番低い音のG弦)
だけで弾けるように編曲することで、世の中に広く”G線上のアリア”として知られ親しまれる曲となりました。
現在では広くヴァイオリンや他の楽器が他の線で弾く時にも”G線上のアリア”として紹介されるようになり、
”G線上のアリア”と言う名が世に浸透しました。

バッハ一族は音楽家の家系で、数多くの音楽家を輩出しましたが、
中でも、ヨハン・ゼバスティアン・バッハはその功績の大きさから、大バッハとも呼ばれています。
一般的にはJ・S・バッハとも略記されています。

ヨハン・ゼバスティアン・バッハ(Johann Sebastian Bach, 1685年3月31日 - 1750年7月28日)
は、18世紀のドイツで活躍した作曲家・音楽家です。
 バロック音楽の重要な作曲家の一人で、鍵盤楽器の演奏家としても高名であり、
当時から即興演奏の大家として知られていました。バッハ研究者の見解では、
バッハはバロック音楽の最後尾に位置する作曲家としてそれまでの音楽を集大成したとも評価されていますが、
後世には、西洋音楽の基礎を構築した作曲家であり音楽の源流であるとも捉えられ、
日本の音楽教育では「音楽の父」と称されました。

アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/

≫ 続きを読む

  2022/09/13   animato

Solo+クラリネット四重奏 ジョスランの子守唄

Solo+クラリネット四重奏 ジョスランの子守唄
Berceuse de Jocelyn
バンジャマン・ルイ・ポール・ゴダール
Benjamin Louis Paul Godard

編成はCl.3本、Bs,Cl.およびSoloパートです。
同梱のSoloパート楽譜はin F版(Hn.)、
in C版(Ob.、Mallet Perc.など)、
in C-Fl.版(Fl.、Pic.)、
in C低音版(Eup.、Bsn.、Tbn,、St.Bs.など)、
Tubaは1オクターブ下げて演奏できます。
in B版(Tp.、Cl.、Bs.Cl.、Sop.Sax.、T.Sax.など)、
in Es版(Es Cl.、A.Sax.、B.Sax.など)が含まれています。
多くの楽器がSoloを担当し、伴奏は下の編成も含め4種類から選ぶことができます。
金管四重奏版、サックス四重奏版、木管四重奏版は発売中です。

フランスのロマン派を味わえる美しい名曲を、ぜひお楽しみください。

Solo+クラリネット四重奏 ジョスランの子守唄
Berceuse de Jocelyn
バンジャマン・ルイ・ポール・ゴダール
Benjamin Louis Paul Godard

編成はCl.3本、Bs,Cl.およびSoloパートです。
同梱のSoloパート楽譜はin F版(Hn.)、
in C版(Ob.、Mallet Perc.など)、
in C-Fl.版(Fl.、Pic.)、
in C低音版(Eup.、Bsn.、Tbn,、St.Bs.など)、
Tubaは1オクターブ下げて演奏できます。
in B版(Tp.、Cl.、Bs.Cl.、Sop.Sax.、T.Sax.など)、
in Es版(Es Cl.、A.Sax.、B.Sax.など)が含まれています。
多くの楽器がSoloを担当し、伴奏は下の編成も含め4種類から選ぶことができます。
金管四重奏版、サックス四重奏版、木管四重奏版は発売中です。

フランスのロマン派を味わえる美しい名曲を、ぜひお楽しみください。

Cl4+.jpg
お求めの際はこちらからお願いします。

アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/

参考音源
https://youtu.be/pjs-T_j1Qk4

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3

バンジャマン・ルイ・ポール・ゴダールは、 1849 年パリに生まれ、1895 年カンヌで亡くなったフランスのヴァイオリニストであり、作曲家でした。
パリ音楽院において、ヴェータンにヴァイオリンを、ルベルに作曲を師事します。室内楽団でヴァイオリンまたはヴィオラを演奏するとともに、
作曲家としてもヴァイオリンやピアノのための作品から管弦楽曲、オペラまで幅広く手がけています。 
1887 年からパリ音楽院室内楽科教授となりました。
オペラ「ジョスラン」の子守歌は特に有名です。

ジョスランの子守唄
バンジャマン・ルイ・ポール・ゴダール
(1849 ~ 1895)フランス
Benjamin Louis Paul Godard

パンジャマン・ルイ・ポール・ゴダールは 1849 年パリに生まれ、 1895 年に亡くなった、フランスの作曲家です。
1878 年パリ市の作曲コンテストで「劇的交響曲」が1位に入賞して、その名を世に知られるようになりました。
その後、歌劇を手がけ、この子守歌で知られる「ジョスラン」、「酒保商人」などを書いています。

ジョスランの子守歌 ゴダール
歌詞の意味・日本語訳・原曲のフランス語の歌詞
『ジョスランの子守歌 Berceuse de Jocelyn』(ベルスーズ・ドゥ・ジョスラン)は、19世紀フランスの作曲家ゴダールによる
オペラ『ジョスラン Jocelyn』中のアリア(歌)です。

オペラ『ジョスラン』が今日上演される機会はほとんどなく、『ジョスランの子守歌』だけが独立した楽曲として単独で演奏されるほか、
安眠・リラックス系クラシック音楽CDの一曲としてコンピレーション・アルバムに収録されることがよくあるようです。

日本では古くから唱歌として歌われており、『流浪の民』、『ローレライ』、『野ばらの名訳で知られる訳詞家の
近藤 朔風(こんどう さくふう/1880-1915)による歌詞が現代まで伝えられています。

世界遺産モン・サン=ミシェル修道院(Mont Saint-Michel)でもフランス革命時に特権階級の聖職者は迫害され、
モン・サン=ミシェル修道院は廃止されました。1863年まで国の監獄として使用されていました。

"Berceuse" from Jocelyn - Summer Watson

訳詞:近藤 朔風
むごきさだめ 身に天降(あも)りて
汝(なれ)と眠る のろわれの夜(よ)
胸のうれい ゆめに忘れん
祈らばや ゆらぐ星のもと

夢のまきまきに あこがれよ み空へ
眠れいとし子よ 眠れ今は小夜中(さよなか)
あゝ夢ぞいのち マリアよ守りませ

愛のつばさに おおわれつ
わが来し方(こしかた) かえりみれば
流れたゆとう 波にも似たり
あわれいく日 祈りに泣きぬ

夢のまきまきに あこがれよ み空へ
眠れいとし子よ 眠れ今は小夜中
あゝ夢ぞいのち マリアよ守りませ

近藤 朔風による『ジョスランの子守歌』の訳詞を見てみると、「むごきさだめ(惨き運命)」、「のろわれの夜(呪われの夜)」、
「胸のうれい(憂い)」などと、冒頭から子守歌らしからぬ、ただならない雰囲気が漂っています。
「祈り」「マリア」といったキリスト教を連想させるキーワードが使われていて、キリスト教に関連する過酷な運命の歴史が
暗に示されている歌詞です。

原曲:フランス語の歌詞・日本語訳
Berceuse de Jocelyn
Couches dans cet asile
Ou Dieu nous a conduits
Unis par le malheur
Durant les longues nuits

Nous reposons tous deux
Endormis sous leurs voiles
Ou prions aux regards
Des tremblantes etoiles !

神がお導きになった この安らぎの場所に隠れて
不幸ばかりの 永い夜を 二人で休もう
瞬く星が守ってくれる ベールの下で眠ろう

Oh ! Ne t'eveille pas encore
Pour qu'un bel ange de ton reve
En deroulant son long fil d'or
Enfant, permette qu'il s'acheve

あぁ、まだ起きないで
君の夢の中に現れる美しい天使が
長い金の糸を巻き取る間
御子よ、天使がそれを終えるまで

Dors ! dors ! Le jour a peine a lui !
Vierge sainte, veillez sur lui !

眠れ、眠れ、人生はほんのわずかのこと
マリアよ、人生を見守ってくれ

Sous l'aile du Seigneur
Loin du bruit de la foule
Et comme un flot sacre
Qui doucement s'ecoule,

Nous avons vu les jours
Passer apres les jours
Sans jamais nous lasser
D'implorer son secours !

神の安らぎのもと 雑踏の騒がしさから離れて
まるで聖なるしずくがゆっくりと流れるように
私たちは毎日を過ごした  助けを請い願うこともなく

ジョスラン(オペラ)
フランス革命で立ち上がった貧しい市民達 聖職者・貴族が標的に
オペラ『ジョスラン Jocelyn』は、19世紀フランスの作曲家ゴダールによる全4幕のオペラ・歌劇。1888年に初演されました。
今日上演される機会はほとんどなく、同作中のアリア『ジョスランの子守歌 Berceuse de Jocelyn』だけが独立した楽曲として単独で演奏されています。

オペラ『ジョスラン』のあらすじ・ストーリーは、フランスの詩人・政治家アルフォンス・ド・ラマルティーヌ(Alphonse de Lamartine/1790-1869)の
長編詩に基づいています。

舞台は18世紀末のフランス。聖職者の主人公ジョスランは、過激化するフランス革命の荒波にのまれ、山で数奇な逃亡生活を送ることになります。
ストーリーは「フランス革命」「聖職者」「逃亡生活」というキーワードがあらすじの大きな柱となっています。
フランス革命と追われる聖職者の歴史
フランス革命以前の身分制度「アンシャン・レジーム」では、国民は三つの身分に大別されていました。
第一身分は聖職者、第二身分は貴族、第三身分は市民や農民です。このうち第一身分と第二身分はいわゆる特権身分であり、免税特権を持っていました。

1789年のフランス革命により第三身分の第三身分の市民・農民たちが立ち上がると、貴族や聖職者たちは革命軍の標的となり、
1793年にはルイ16世とマリー・アントワネットはパリのコンコルド広場でギロチンで公開処刑されました。

特権身分のキリスト教は徹底的に弾圧され、聖職者追放と教会への略奪・破壊が横行しました。
1793年11月にはフランス全土でミサの禁止と教会の閉鎖が実施され、祭具類はことごとく没収されて造幣局で溶かされました。

オペラ『ジョスラン』の主人公である聖職者のジョスランも、このフランス革命のあおりを受けて山岳地帯へ逃亡しました。
『ジョスランの子守歌 Berceuse de Jocelyn』はその逃亡中の山の中でジョスランが歌った歌なのでしょう。

アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/

≫ 続きを読む

  2022/09/12   animato

木管四重奏 グリーグ :抒情小品集 第4集 Op.47-3

木管四重奏 グリーグ :抒情小品集 第4集 Op.47-3
メロディー
Lyriske smastykker No.4 op.47-3
Melodie
Grieg, Edvard Hagerup

編成はFl.、Ob.、Cl.、Bsn.です。
金管四重奏、クラリネット四重奏、サックス四重奏版は発売中です。

ノルウェー色が豊かな名曲をコンサート・ピースなどに、ぜひどうぞ。

木管四重奏 グリーグ :抒情小品集 第4集 Op.47-3
メロディー
Lyriske smastykker No.4 op.47-3
Melodie
Grieg, Edvard Hagerup

編成はFl.、Ob.、Cl.、Bsn.です。
金管四重奏、クラリネット四重奏、サックス四重奏版は発売中です。

ノルウェー色が豊かな名曲をコンサート・ピースなどに、ぜひどうぞ。

ww5.jpg
お求めの際はこちらからお願いします。

アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/

参考音源
https://youtu.be/pHUQBFXPMZU

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3

グリーグはベルゲンというオスロに次ぐ大都市に5人兄弟の第4子として生まれました。
幼少より母親からピアノを習いはじめ、15歳から18歳までは、ドイツのライプツィヒ音楽院で作曲とピアノを学び、
メンデルスゾーンやシューマンらの影響を受けました。
音楽院を卒業後は故郷ベルゲンに戻り、さらに翌1863年にコペンハーゲンで
ニールス・ガーデ(Niels Gade, 1817年~1890年)から作曲を教わり、国民楽派の影響を受けたと言われています。

彼はノルウェーの民族音楽から着想を得て、国民楽派の作曲家として注目されました。
民族音楽からの深い影響は『ペール・ギュント』第1組曲の第1曲「朝」の冒頭がノルウェーの民族楽器である
ハリングフェーレの共鳴弦を端からつま弾いた時の旋律から始まっていることからもうかがうことができます。
グリーグの肖像は、旧500クローネ紙幣に描かれていました。
グリーグはとても小柄であった。生前は卓越したテクニックのピアニストとしても著名で、自作を携えヨーロッパをたびたび演奏旅行している。晩年のアコースティック録音およびピアノロールが残されており、現在もCDで入手できる。

生地であるノルウェーの旧首都ベルゲンの自然と海をこよなく愛しました。
死後に火葬され、遺言によりトロールハウゲンの住居の下にある湖を望む岩壁に墓が設けられ、一部の遺灰は湖に撒かれました。

グリーグは終世、手のひらに乗るぐらいの小さな蛙の置物や子豚のぬいぐるみを大切にし、
寝る時も一緒だったそうです。演奏会の時は、あがらないように、ポケットの中で蛙の置物をそっと握りしめたそうです。
なお、この蛙の置物と子豚のぬいぐるみはグリーグの家(現在のエドヴァルド・グリーグ博物館)に展示されています。

ちょうどこのグリーグが活躍した時代というのは、当時勢いのあったドイツのロマン派音楽が周辺諸国へと波及し、
それぞれの国の民族的要素と融合した新しい音楽様式が生まれましたが、それを音楽史の中では「国民楽派」と呼んでいます。
その背景には、当時鉄道が整備され人々の移動が容易になったことも関係しているのではないかと思われます。
国民楽派の作曲家たちは、自国の歴史や風物、民謡、民族音楽などを題材にした作品を積極的に作りました。
ロシア、ボヘミア地方、北欧などで様々な作曲家たちが活躍し始めるのがこの時期です。

『抒情小曲集』は、エドヴァルド・グリーグが1867年から1903年にかけて作曲した、全66曲からなるピアノ曲集です。
6~8曲ごとにまとめられて出版され、全10集からなっています。

1867年、《ピアノ協奏曲イ短調 作品16》で一躍有名になったグリーグは、この年から1901年にかけてこの作品集を書き上げました。
抒情小品は生涯にわたって作曲されているため、グリーグの作風、ピアニズム、その変遷すべてがその中にあらわれていて、
作品群の中でも中心的な存在です。
いずれも1分~6分程度の小品で、ステージ用というよりは、主にサロンや家庭で広く親しまれていました。
どの曲にも標題がつけられていて、それぞれの曲に対して、一つの感情、気分、情景が表現されています。

1867年、第1集を発表しましたが、その後ピアノ、作曲、指揮など多忙だったこともあって、第2集が発表されたのは、
その16年後でした。第2集から第10集はある一定の間隔をおきながら続けて作曲されました。
全10巻で、計66曲の作品がおさめられています。

グリーグ : 抒情小品集 第4集 / Lyriske smastykker No.4 op.47

第4集は、第3集の出版からちょうど10年後にあたる1888年に出版された。比較的やさしい技巧で弾くことができた第3集までの作品と比べ、
第4集以降、やや難易度が増しています。また、第3集にみられたような、全曲を通しての内容の一貫性はありません。

1.即興的ワルツ / op.47-1 "Valse-Impromptu":民族的な舞曲のリズムにのせて、どことなく物憂げで神経質なメロディがさまようように奏でられます。
Strettoの部分は即興的で、非常に煌びやかな効果をあげています。全体的に単調にならないよう、ハーモニーの変化を感じて演奏しましょう。

2.アルバムのページ / op.47-2 "Albumblad":なにか輝かしい良き日の思い出を想わせるような、一曲で、技巧的に難しい曲です。
メロディが中心となる主要な箇所と、挿入句的なパッセージの部分とは、効果的に雰囲気を分けて演奏しましょう。

3.メロディー / op.47-3 "Melodie":和音が一定のリズムを保ちながら、伴奏をきざみ、その上を憂いにみちた旋律が延々と歌われていきます。
和音の中で、いかに旋律を音楽的に奏でることができるかが重要です。そのために、伴奏のリズムに推進力をもたせることも大切でしょう。

4.ハリング / op.47-4 "Halling":民族的な和声とリズムの面白さが魅力的な曲です。第2集の〈ハリング〉と同じリズムが用いられています。
5度の音程をシンコペーションのリズムで一定に刻み続けます。時に音量を変化させながらも、このリズムをかなり正しく演奏することが、
曲の雰囲気を出す上で重要です。声部ごとに強迫拍の位置が異なっていることも意識して演奏しましょう。

5.メランコリー / op.47-5 "Melankoli":タイトルが示すとおり、ため息のような旋律が欝欝とした様子で静かに奏されます。
各部によって、支えになっている持続音が変化しているので、これを意識して、色合いを変化させていきましょう。

6.スプリング・ダンス / op.47-6 "Springdans":1975年に出版された《家庭音楽集》の中に既におさめられていた曲を改訂した曲です。
舞曲のリズムが刻まれ、その上を活気に満ちた旋律が進んでいきます。大きな跳躍をみせる技巧的な部分、叙情的な中間部など魅力に富んでいます。
中間部の旋律は、比較的あっさりめに演奏するほうが旋律のもつ性格が活かされるでしょう。
和声的な進行を意識し、主要な音の動きを把握して演奏することも大切です。

7.エレジー / op.47-7 "Elegie":旋律につけられているアクセントは、強く、というよりはテヌート気味に奏されます。
物憂げに繰り返される旋律に対して、下降していく和音の色づけにも心を配りたいところです。
中間部では、装飾音を帯びて増やされた音とともに、抑圧された悲しみも、より増していくように感じられます。

アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/

≫ 続きを読む

  2022/09/11   animato