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2026年1月5日

金管五重奏 5声のパヴァーヌ 第7番〈シャープ・パヴァーヌ〉

金管五重奏 5声のパヴァーヌ 第7番〈シャープ・パヴァーヌ〉
アルフォンソ・フェッラボスコ 2世
Pavan à5 No.7《Sharp Pavan》
Alfonso Ferrabosco II(c.1575–1628)

編成はTp.2本、Hn.、Tbn.またはEup.、Tubaです。
木管五重奏、サックス五重奏、クラリネット五重奏版は発売中です。

イギリス宮廷を彩った名曲をコンサート・ピースに、ぜひどうぞ。

金管五重奏 5声のパヴァーヌ 第7番〈シャープ・パヴァーヌ〉
アルフォンソ・フェッラボスコ 2世
Pavan à5 No.7《Sharp Pavan》
Alfonso Ferrabosco II(c.1575–1628)

編成はTp.2本、Hn.、Tbn.またはEup.、Tubaです。
木管五重奏、サックス五重奏、クラリネット五重奏版は発売中です。

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https://animato.official.ec/

参考音源
https://youtu.be/lAlmTX4_nms

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3
https://animato-jp.net/rec-band/gakufu.html

1. 背景
フェッラボスコ2世はエリザベス朝から初期ステュアート王朝にかけて宮廷で活躍した作曲家で、
イングランドのヴァイオル合奏音楽(consort music) を代表する存在。
彼の《Pavan à5》シリーズは、教育的性格と芸術的完成度を兼ね備え、イングランドの音楽家たちに長く親しまれました。
《No.7 Sharp Pavan》は、その中でも特異な作品で、「Sharp(シャープ)」の名が付いているのは、調性や旋法上の特徴(特に臨時記号の頻出)によると考えられています。

2. 編成と形式
編成:ヴァイオル・コンソート(5声:トレブル、アルト、テナー×2、バス)。
形式:典型的な三部形式(AABBCC)。各部は模倣的展開を伴い、反復されます。

3. 音楽的特徴
調性(モード)
「Sharp Pavan」と呼ばれる理由は、ほかのパヴァーヌよりも 臨時記号(♯)が多く使われることにあります。
ルネサンス音楽としては珍しく、半音階的な進行や「シャープ系」の旋律変化が多く、響きに緊張感が漂います。

旋律素材
主題は長めの旋律で、荘重で落ち着いた雰囲気。
ただし「半音上行」や「不協和的な経過音」の使用により、他のパヴァーヌよりもドラマティックな表情を持っています。

対位法
各声部に主題やモチーフが模倣的に現れ、密度の高いポリフォニーを形成。
特に内声部の絡みが豊かで、半音階進行が強調される部分では、和声的緊張感が際立ちます。

和声
終止では伝統的なモード的安定感を示すものの、部分的に和声進行が不安定で、後のバロック的感覚を予感させる響きも。

4. 性格と表現
フェッラボスコのパヴァーヌは一般に荘重で瞑想的ですが、
Sharp Pavan は特に憂愁・緊張感・内面的な深さを持つと評されます。
そのため、単なる舞踏曲ではなく、精神的な黙想音楽として演奏されることも多いです。

5. 位置づけ
《Pavan à5 No.7 “Sharp Pavan”》は、フェッラボスコ2世のパヴァーヌ群の中で最も個性的な作品の一つ。
他の「4音主題」「7音主題」のような数的制約を超え、半音階的表現を探求した実験作と見ることができます。
こうした要素は後の ロバート・ジェンキンスやマシュー・ロックといった作曲家たちの「濃密で表情的なコンソート音楽」にもつながっていきます。

まとめ
《Pavan à5 No.7 “Sharp Pavan”》は、フェッラボスコ2世のパヴァーヌの中で特に臨時記号(♯)が多用され、半音階的で緊張感ある響きを特徴とする作品。荘重さに加え、憂愁とドラマティックな表現を兼ね備え、ルネサンス末期からバロック初期への橋渡しを示す重要な一曲。
フェッラボスコ2世のパヴァーヌ群は、当時のイングランドで「器楽ポリフォニーの粋」とされ、バードやジェンキンス、ギボンズらの作品にも影響を与えました。
Pavan(パヴァーヌ)という舞曲形式について(音楽史的背景から特徴まで)

1. 起源と時代
起源:16世紀初頭のイタリア。語源は「パドヴァの舞曲(Padovana)」に由来するとも、スペイン語の「pavón(孔雀)」に由来するとも言われています。
普及:ルネサンス後期から17世紀初頭にかけて、ヨーロッパ各地で非常に人気がありました。特にイングランド、フランスで多く作曲されています。
役割:宮廷の公式行事や儀式で演奏される荘重な舞曲。バロック時代初期には次第に衰退しました。

2. リズムと拍子
拍子:通常は二拍子(2/2 =カットタイム)。
テンポ:ゆったりとした歩くようなテンポ。
リズム:均整のとれたフレーズが特徴で、しばしば2小節または4小節単位で進行。

3. 形式
三部構造(AABBCC) が一般的。

各部は反復される(リピート付き)。
しばしば次の「Galliard(ガイヤルド、跳躍的で速い三拍子舞曲)」と対で組まれることが多い。
多声音楽との融合:声楽的パヴァーヌや器楽合奏用のパヴァーヌも多く作られ、模倣や対位法的処理が多用されました。

4. 音楽的特徴
荘重で静かな雰囲気:宮廷的で威厳を持ち、祝典の入場行進曲のような性格を持つ。
旋律:平穏で流麗。しばしばカデンツは明快で、典礼音楽にも使えるほど整然としている。
対位法:イングランドの作曲家(フェッラボスコやバード)は、短いモチーフを展開して緻密なポリフォニーを構築しました。

5. 代表的な作曲家と作品
イタリア:Andrea Gabrieli, Claudio Merulo など。
イングランド:William Byrd, Alfonso Ferrabosco II, John Dowland。
フランス:Claude Gervaise など。
ドイツ:Michael Praetorius(舞曲集『Terpsichore』に収録)。

6. 意義
舞曲としての役割:宮廷社会における儀礼・格式を象徴する舞曲。
芸術的発展:単なる舞踏音楽に留まらず、主題展開や対位法練習の題材としても重要視された。
音楽史的な位置付け:ルネサンス舞曲の代表格であり、後の「組曲(Suite)」の冒頭曲に選ばれることもありました(ただしフランス組曲ではアルマンドなどに置き換わっていく)。
つまり「Pavan」は、ゆったりとした歩みのような二拍子舞曲であり、荘重さと対位法的構築性を兼ね備えた、ルネサンスを象徴する舞曲形式なのです。

アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/

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  2026/01/05   animato