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2024年01月9日

クラリネット五重奏 幻想小曲集 作品12から第3曲「なぜ?」シューマン 

クラリネット五重奏 幻想小曲集 作品12から第3曲「なぜ?」シューマン 
R. Schumann, Fantasiestucke, Op. 12-3 Warum?

編成はEs Cl.、Cl.3本、Bs,Cl.です。
金管五重奏、サックス五重奏、木管五重奏版は発売中です。

クラリネット五重奏 幻想小曲集 作品12から第3曲「なぜ?」シューマン 
R. Schumann, Fantasiestucke, Op. 12-3 Warum?

編成はEs Cl.、Cl.3本、Bs,Cl.です。
金管五重奏、サックス五重奏、木管五重奏版は発売中です。

シューマンの名曲をコンサート・ピースに、ぜひどうぞ。

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アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/

参考音源
https://youtu.be/fnttv3rkOt8

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3

第3曲であるこの曲では冒頭から属7の和声ではじまり、切ない疑問を投げかけるようです。
典型的なロマン派の叙情的な小品になっています。真剣で、そして静かな問いかけが為される音楽です。
「ゆっくりと繊細に(Langsam und zart)」と指定されています。
冒頭に提示される6音からの音型の繰り返しが「なぜ?」という気持ちを代弁するかのようです。
しかし呼応する内声は力なくその終わりを待たずに次の問いかけがはじまります。情熱的な心の叫びというよりはため息と共に自分の内面に
切々と問い掛けるような1曲です。

幻想小曲集(げんそうしょうきょくしゅう、Fantasiestucke)作品12は、ロベルト・シューマンが1837年に作曲した、8曲からなるピアノ曲集です。
タイトルの通り、一つ一つの曲は幻想的な情緒に満ちていて、それぞれに文学的な標題が付けられています。
なお、シューマンの作品で「幻想小曲集」と銘打たれているものは他にも作品73(クラリネットとピアノ)、作品88(ピアノ三重奏)、
作品111(ピアノ独奏)があります。
一つ一つが何ともいえないロマンチックで美しい旋律をかなでます。
また、あるときは激しく、あるときは優しく、あるときは楽しく、シューマンの性格がそのまま曲に表れているといっても過言ではないのが
この幻想小曲集で、互いに深い関連性があり、統一感を持ってまとめあげられた作品です。
どの曲もファンタジー豊かな小品ですが、各曲のコントラストと調和と均衡は見事で、シューマンらしい幻想的な美しい作品となっています。

1837年から1838年にかけて作曲され、1838年ライプツィヒのブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版、
シューマンと親交のあったイギリスの女流ピアニストのアンナ・ロビーナ・レードロウに献呈されています。
その時期はまさにクララとの結婚をめぐってクララの父と訴訟も交えた激しいやり取りを行っていた時期と重なります。
それはシューマンにとっては心がズタズタにされるような危機的状況であると同時に、そこから立ち直ってクララへの愛を
音楽で告白することによって一つの飛躍を勝ちとった時期でもありました。

この小品集はまさにその様なクララへの愛の表白であることは明らかであり、彼はその時期に2つのピアノ・ソナタ(Op.11 & Op.14)、
子供の情景(Op.15)、クライスレリアーナ(Op.16)、幻想曲(Op.17)などを生み出すのです。
「幻想小曲集」はホフマンの小説「カロの手法による幻想小品集」に由来しますし、彼はここにおさめられた「楽長クライスラー」の詩から
「クライスレリアーナ」を着想するのですから、よほどこの文学作品から影響を受けたのでしょう。

第1曲 夕べに(Des Abends) 変ニ長調
Sehr innig zu spielen (非常に心を込めて弾く; Con molto sentimento)
3連符の伴奏の上に、もう1つ大きな単位の、アクセントの違う3連符の旋律が歌われます。つまり2拍子でありながら伴奏は2拍子、旋律は3拍子を感じさせ、
それが複雑に絡み合うことで、独特の幻想味を醸し出しています。

第2曲 飛翔(Aufschwung) ロンド形式 ヘ短調
Sehr rasch(極めて速く; Molto vivo)
曲集の中では、最も有名なものである。力強い冒頭が印象的。内声部に情熱的な旋律が歌われる主部と、Bでは変ニ長調に転じ、
軽やかに高音部で歌われます。Cでは変ロ長調になり、幾分落ち着いたものとなります。手が小さいと演奏困難で、味を出すにはそれ相応な技術が必要です。

第3曲 なぜに(Warum?) 変ニ長調
Langsam und zart(ゆっくりそして優しく; Lento e teneramente)
標題の通り、問いかけるような主題が2声で進行していきます。

第4曲 気まぐれ(Grillen)
Mit Humor(ユーモアをもって; Con umore)
スケルツォの形をとります。変ニ長調ですが、変ロ短調(しかも属和音)で開始され、すぐに変ト長調となり、変イ長調を経て、
16小節目でやっと変ニ長調が示されるなど、主部だけで十分に気まぐれ的な要素を含んでいます。中間部は変ト長調のコラールとなりますが、
やはり気まぐれな曲調です。ドイツ語タイトルは「グリルでの焼肉」つまり「バーベキュー」の意味です。

第5曲 夜に(In der Nacht) ヘ短調
Mit Leidenschaft(情熱をもって; Appassionato)
波打つようなアルペッジョの伴奏に、断片的な旋律が顔を見せます。シューマンはこの曲集の中では最も気に入っていて、
クララにも最も演奏会に適した曲として薦めている。また、シューマンは自ら演奏する時には、ヘーローとレアンドロスの物語をイメージしていると
クララ宛の書簡に記しています。

第6曲 寓話(Fabel) ハ長調
Langsam(ゆっくり; Lento)
フェルマータを含む遅い部分と、スタッカートの速い部分が交替します。

第7曲 夢のもつれ(Traumes Wirren) ヘ長調
Auserst lebhaft(極めて速く; Vivacissimo)
音はきわめて速く、軽やかに鍵盤上を駆け巡ります。それは一時の夢を見ているようです。その弾きにくさからしばしば「指のもつれ」と
揶揄されています。中間部は変ニ長調のコラールとなり、下属調の変ト長調で主題再現、半音下のヘ長調に戻ります。

第8曲 歌の終わり(Ende vom Lied) ヘ長調
Mit gutem Humor (適度なユーモアをもって; Con buon umore)
『クライスレリアーナ』でも見られるように、シューマンは曲集の最後でたびたびユーモアを用いました。
オクターブが折り重なって音楽ができあがっていく様を、シューマン自身は「結婚式と葬式の鐘が入り混じって聞こえてくる」と表現しました。
コーダは瞑想的なコラールとなり、静かに鐘の余韻が響いて終わります。

アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/

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  2024/01/09   animato