サックス五重奏 5声のパヴァーヌ 第5番
アルフォンソ・フェッラボスコ 2世
Pavan à5 No.5
Alfonso Ferrabosco II(c.1575–1628)
編成はサックスのソプラノ、アルト2本、テナー、バリトンです。
木管五重奏、クラリネット五重奏、金管五重奏版は発売中です。
イギリス宮廷を彩った名曲をコンサート・ピースに、ぜひどうぞ。
サックス五重奏 5声のパヴァーヌ 第5番
アルフォンソ・フェッラボスコ 2世
Pavan à5 No.5
Alfonso Ferrabosco II(c.1575–1628)
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参考音源
https://youtu.be/C8w0CnkuqKE
Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ
アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3
https://animato-jp.net/rec-band/gakufu.html
1. 背景
フェッラボスコ2世はエリザベス朝からジェイムズ1世期にかけてイングランド宮廷で活動し、
ヴァイオル・コンソート(viol consort)のための器楽作品 を多数残しました。
彼のパヴァーヌは、単なる舞踏音楽を超えて、対位法的練習曲・芸術的な合奏作品として扱われています。
《Pavan à5》シリーズは、教育的意図(特定の音や動機に基づくもの)と芸術的意図(旋律的自由さ)を兼ね備えています。
2. 形式と編成
形式:パヴァーヌ特有の三部形式(AABBCC)。
編成:5声のヴァイオル・コンソート(トレブル、アルト、テナー×2、バス)。
3. No.5 の特徴
主題素材
No.1(4音主題)、No.2(7音主題)のような「音数制限主題」ではなく、
より自由な旋律素材 を展開。
No.4同様に旋律的な広がりが見られるが、No.5はさらに モチーフの展開力 が強い。
対位法処理
主題が各声部で模倣的に現れ、声部の交差が多用される。
特に内声(アルト、テナー)の動きが活発で、響きの厚みを生み出します。
和声と響き
モード的な響きに基づきつつ、終止部では明確に調的安定感を持たせる。
和声の進行は荘重ですが、局所的に半音階的な表現も見られる。
音楽的性格
No.5は、全体に 威厳と緊張感 を湛えた性格が強い。
舞踏的要素は薄く、むしろ 瞑想的・荘厳な合奏曲 としての性格が前面に出ています。
4. 音楽史的意義
《Pavan à5 No.5》は、フェッラボスコ2世の後期パヴァーヌ群に属し、
「教育的」から「芸術的」へと移行した典型的な例。
対位法練習曲としての性格を保持しながら、音楽的完成度が高く、後のジェンキンスやギボンズらイングランド作曲家に影響を与えました。
まとめ
《Pavan à5 No.5》は、フェッラボスコ2世のパヴァーヌの中でも特に荘重で対位法的に密度の高い作品。舞曲としてよりも芸術的合奏曲として位置づけられ、イングランド・ヴァイオル音楽の成熟を象徴する。
フェッラボスコ2世のパヴァーヌ群は、当時のイングランドで「器楽ポリフォニーの粋」とされ、バードやジェンキンス、ギボンズらの作品にも影響を与えました。
Pavan(パヴァーヌ)という舞曲形式について(音楽史的背景から特徴まで)
1. 起源と時代
起源:16世紀初頭のイタリア。語源は「パドヴァの舞曲(Padovana)」に由来するとも、スペイン語の「pavón(孔雀)」に由来するとも言われています。
普及:ルネサンス後期から17世紀初頭にかけて、ヨーロッパ各地で非常に人気がありました。特にイングランド、フランスで多く作曲されています。
役割:宮廷の公式行事や儀式で演奏される荘重な舞曲。バロック時代初期には次第に衰退しました。
2. リズムと拍子
拍子:通常は二拍子(2/2 =カットタイム)。
テンポ:ゆったりとした歩くようなテンポ。
リズム:均整のとれたフレーズが特徴で、しばしば2小節または4小節単位で進行。
3. 形式
三部構造(AABBCC) が一般的。
各部は反復される(リピート付き)。
しばしば次の「Galliard(ガイヤルド、跳躍的で速い三拍子舞曲)」と対で組まれることが多い。
多声音楽との融合:声楽的パヴァーヌや器楽合奏用のパヴァーヌも多く作られ、模倣や対位法的処理が多用されました。
4. 音楽的特徴
荘重で静かな雰囲気:宮廷的で威厳を持ち、祝典の入場行進曲のような性格を持つ。
旋律:平穏で流麗。しばしばカデンツは明快で、典礼音楽にも使えるほど整然としている。
対位法:イングランドの作曲家(フェッラボスコやバード)は、短いモチーフを展開して緻密なポリフォニーを構築しました。
5. 代表的な作曲家と作品
イタリア:Andrea Gabrieli, Claudio Merulo など。
イングランド:William Byrd, Alfonso Ferrabosco II, John Dowland。
フランス:Claude Gervaise など。
ドイツ:Michael Praetorius(舞曲集『Terpsichore』に収録)。
6. 意義
舞曲としての役割:宮廷社会における儀礼・格式を象徴する舞曲。
芸術的発展:単なる舞踏音楽に留まらず、主題展開や対位法練習の題材としても重要視された。
音楽史的な位置付け:ルネサンス舞曲の代表格であり、後の「組曲(Suite)」の冒頭曲に選ばれることもありました(ただしフランス組曲ではアルマンドなどに置き換わっていく)。
つまり「Pavan」は、ゆったりとした歩みのような二拍子舞曲であり、荘重さと対位法的構築性を兼ね備えた、ルネサンスを象徴する舞曲形式なのです。
アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/
