近親調
近代和声では長調・短調それぞれに12の調があります。この中でも密接な関係にある調を「近親調」と呼びます。最も近親関係が深い調は次の四つです。それ以外は、「遠隔調」と呼ばれます。
近親調名 定義 例 同主調(同名調) 同一の主音を持つ長調と短調。
長調の同主調は短調、短調の同主調は長調になります。ハ長調 - ハ短調 平行調 同一の調号を持つ長調と短調。
長調の平行調は短調、短調の平行調は長調になります。ハ長調 - イ短調 属調 ある調の属音を主音とする調。
長調の属調は長調、短調の属調は短調になります。ハ長調 - ト長調 下属調 ある調の下属音を主音とする調。
長調の属調は長調、短調の属調は短調になります。ハ長調 - ヘ長調 同主調は同名調とも呼ばれ、主音が同じ調の関係です。 例えばハ長調の同主調はハ短調であり、反対にハ短調の同主調はハ長調だということになります。平行調(並行調とも書きます)は、関係調とも呼ばれ、 調号が同じ調の関係です。例えばハ長調の平行調はイ短調であり、イ短調の平行調はハ長調だということになります。平行調の主音は常に短三度関係の長調と短調になっています。属調は主音が完全五度上にある調です。属和音を主和音とする調だともいえます。例えばハ長調の属調はト長調であり、ト長調の属調はニ長調だということになります。またイ短調の属調はホ短調である。主調に対して属調の調号はシャープが一つ増えるか、またはフラットが一つ減る事になります。また下属調は主音が完全五度下(完全四度上)にある調です。ハ長調の下属調はヘ長調である。属調と下属調はちょうど対になっていて、ハ長調の属調がト長調であれば、ト長調の下属調はハ長調であるということになります。
近親調のさらに近親調も関連の深い調です。例えば下図のようにハ長調の属調(ト長調)のさらに同主調のト短調について考えましょう。ハ長調とト短調は近親調ではないのですが、近親調に近い関係を持っているといえます。こように、もう少し広い範囲(下図で緑色も含める)の調まで近親調に含めて考える場合もあります。(=黄色で示した調が近親調、緑色を含める場合もあります。)
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平行調側← |
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→同主調側 |
通常、転調は近親調へ行われ、自然転調と呼びます。それ以外の転調を変格転調と呼ぶことがあります。このように近親調は二つの調の近親関係を見るために役立つのです。
下に近親調の関係をもう少し広い範囲まで示しておきましょう。互いに鎖のようにつながって見えます。上の図で示したようにある調を中心に置いた十字(上下左右)の関係が近親調です。上下は五度圏になっていて延長すると、どちら側にでも循環します。左右は同主調と平行調の関係で交互につながっています。
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参考→ : 五度圏