四万十川の中流域は山深い景観からは想像がつかない程に水量が豊富だ。思えば先週もまとまった雨が降った。筆者は長崎滞在中であったが、そこでは4/26の夜半に降ったと記憶している。ここ四国では3日ほど前の雨となるのか。山々で十分に濾過された豊かな清流である。四万十川は、「ダムの無い川」としても有名だが、その魅力は川本来の原風景が保たれ、そこに住む人々との関わりであろう。
また、この自然景観に融け込んだ生活文化的遺産である「沈下橋」が、大小合わせて21か所あるそうだ。最大は中村市の今成橋(通称:佐田沈下橋)、最古のものは昭和10年に架けられた窪川町の一斗俵沈下橋。沈下橋には欄干がなく大洪水で橋が水面に「沈下」することを想定し、最初から欄干を造っていないのである。沈下橋は生活道としての役割だけでなく、子供たちが飛び込み台にするなど水に親しむ橋としても生活や周囲の景観と調和している。
何とも郷愁をそそられる魅力的な川である。四万十川上流へ遡ってきた進路も江川崎から国道381号線に折れ、これにて高知とは一旦お別れして愛媛へと進めていくことになる。