気まぐれ遍路ツーリング-2

 日和佐からは南阿波サンラインに入った。南国を思わせる樹木を突っ切り海岸線に出ると、穏やかに夕日を映した太平洋が一望できた。もう陽は傾いてきているが、遅れを取り戻しながら室戸岬までは走りたい。まぁ、何時に着いても場所さえあればテントで一夜を明かすつもりだから...と、焦らずに楽しみながら南を目指した。

 室戸岬に到達したのは19時を過ぎていた。もちろん日没後で辺りの様子は全く見当がつかない。とりあえず室戸スカイライン(県道)の急な坂道を上っていった。展望台の駐車場で広島から一人で自動車で来られている方と野営場所を検討したが、タイヤのスリップ跡が円を描いている所を見て「自動車ならばここでいいが、バイクでテントは危険かも知れんなぁ」と言われる。

 来た道をもう一度戻って国民宿舎が管理するキャンプ場を発見。20時30分を過ぎていた。ぎりぎりのチェックイン(21時で締めきり)で快適な芝生の上で野営することができたのだった。お隣りさんは横浜からフェリーで来られたワインレッドのブラックバード。5/10までの長い休暇を利用して九州までソロツーリングだそうである。「私(筆者)は3日間でも家族からは.....」「私も同じですよ.....」なんて慰め合った会話を回想すると今でも苦笑してしまう。

 テントと夕食の準備のためにバーナーとアルミ鍋を取り出した。手元の明かりを確保するために点灯したキャンドルに頭をぶつけてシュラフはロウだらけになってしまった。慣れない作業に四苦八苦しながらも24時には眠りにつくことができた。お遍路さんの苦労に比べればこれくらい何てことはない....と自分を励ましつつ1日目が終了した。

 翌朝は100羽以上かと思わせる鴬や野鳥による360度サラウンドのさえずりで目を覚す。最高の贅沢だと筆者は確信するのだが如何がだろうか。満天の星とシャワー完備に加えて朝のスペシャル・モーニングコールを含め使用料はたったの1000円だった。

 6時には出発、室戸スカイラインを海岸まで戻る途中で岬の灯台や「最御崎寺」に立ち寄る。徒歩で片道10分の行程であった。海岸線の岬に立つ中岡慎太郎像を後に、今度は高知を目指して北西に進路を取った。


55号線を離れ、南阿波サンラインに立ち寄った


室戸岬には20時到着
国民宿舎のキャンプ場で早朝を迎えた


シャワー完備でよく整った施設だ


24番札所「最御崎寺」


青い空と海のコントラストに映える白亜の室戸岬の灯台、
明治32年以来、 海の安全を守るレンズの大きさは直径2m60cmと日本一。


龍馬との倒幕運動に情熱を燃やした中岡慎太郎像が太平洋を見つめる

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