釧路湿原の自然は、明治以後に進められた水田開墾の試みを拒み、夏の低温と日照不足、そして洪水のため今日までこの風景が維持されてきた。釧路地方は春から夏にかけて連日「海霧」と呼ばれる霧に包まれる。夏に高温をもたらすはずの湿った南風が、この地方の沿岸を南下する寒流に冷やされ、霧となって海から流れ込む。このため、夏の気温は日中でも20℃程度にとどまる。 釧路湿原でヨシ原とともに印象深いのは、蛇行した川である。阿寒連山から連なる丘陵地に降った雨が釧路川・雪裡川・久著呂川など無数の川となって、釧路湿原に流れ込む。釧路湿原はその幅に対して東側にわずか数メートルの傾きしかなく、川は蛇行を繰り返すことになる。また、釧路地方の降雪は少なく、梅雨や台風の影響を受けることも少ないため、年降水量はわずか1100mm程度だ。それでも雪解け時期や豪雨時には、洪水を起こし、釧路湿原を沼地に変貌させる。川は大量の土砂を湿原に運び込み、湿原を乾燥させるので、河川の流入部にはハンノキ林が広がるのだ。
いよいよクルーズの始まりだ、初体験とはワクワクするものだ