グリンツィングで初めに訪れたいのはマーラーが眠る墓地だ。演奏の機会にも恵まれ筆者にとってマーラーは身近に感じられる作曲家である。それにしても、こちらの墓は一聖地あたりの面積が日本の墓よりも広い。中央墓地でも感じたのだが、遺体をそのまま寝かせて埋葬する場所の奥に墓石を立てるからだ。ちょっと生々しい現場を見てしまった。これから埋葬という穴がほられているのだ。マーラーが眠るグリンツィング墓地は早すぎて目的の墓をシラミつぶしに探すしかなかった。寒さに体が凍りそうになった頃、幸運にも地元のおばさんに出会い、教えてもらう。中央墓地とは違った静かな高台という感じで何ともピッタリの雰囲気だった。