プラハ城から視線を左手に向けると、カレル橋は一望できる。この橋は全長515m、幅10mのゴシック様式の石橋で、両端にはタワー・ゲートが建っている。欄干には30体の聖人や歴史上の人物が立ち並ぶ。日本でもモルダウ川の映像を見るとき必ず映し出される橋であり、筆者は懐かしささえ覚えたのだった。プラハ市街でも転倒寸前の危険な道を歩いてきたが、ここへ来てその滑りは絶頂かと思われた。足元から目を放して眺望を楽しむなんて心地には到底なれないのだ。それでも、フラフラの足元を何とか堪えてシャッターを切った。橋上は露店や写真屋でいっぱいだ。それも歩きにくい原因の一つとなっている。途中で滑り止めの砂を蒔く作業車が通っていった。争うようにその砂の上を歩くのだ。全く心許せぬ散策となったものだ。