2002年冬のウィーン・ザルツブルク・プラハ・ドレスデンの旅

国立歌劇場での「魔笛」

ザルツブルクから帰ったのは午後4時台であった。K.K.マリアテレジアに戻って一息入れる。いよいよこれから天下のウィーン国立歌劇場へ向かうための英気を養うためだ。少々疲れも溜まりつつあって、今晩の目標は「居眠りをしないこと」に決める。開演の7時に先駆けて会場に到着、入ると同時にエントランスロビーに感激。しかし人が多い。階段前には案内人が立ちはだかって上には時間まで上げてくれない。オーバーコートで客席まで上がれるようだ。いくらかシャッター(もちろんノーフラッシュ)を切ったところで制止される。周囲ではフラッシュをバンバン焚いて記念撮影をしているではないか。仕方なく指示に従ってカメラを一旦ポーチに収納。複雑な階段や通路を迷いながらまず最上階に上がってみる。場内は派手な装飾はなく、落ち着いた雰囲気であった。今晩、筆者の席は下手2階のボックスで前列である。ボックス席は2列になっていて前列は据え付けられていない椅子が3つがある。後ろには高めの椅子が2つ置かれている。目の前のコンソールを開けると液晶で「ようこそウィーン国立歌劇場へ」と案内が表示されている。今晩のStefan Solteszの演出は象徴的な枡目の板に囲まれた舞台で繰り広げられた。奴隷達が動物に変身していることや3人の童子が現代風の衣装であること以外はオリジナルの時代背景に基づいているものだった。演奏そのものよりも雰囲気を楽しんだと言うのが適当だろう。終演後に歌劇場のホールスタッフマネージャーらしき人物にポスターを頂けるようお願いをした。快く分けてもらえたことが嬉しかった。我々以外にも同じくポスター目的の人達は数人いたようである。歌劇場を出たのは10時過ぎ、オペラのある日は遅くまで開いている飲食店との情報どおり、街はいつもよりネオンが残っている。アウグスティナーケラーに赴いた。ケラーとは地下室の意味で、ワイン貯蔵庫を居酒屋にしたような店である。アウグスティナーケラーは歌劇場の裏手にある。ご覧の料理とワインで23ユーロなり。幸運にもアコーディオンの演奏にも出会えた。彼のサービス精神旺盛な演奏は「さくらさくら」「上を向いて歩こう」と、我々の素性を把握して次々と続く。こうなればチップを弾むしか手はなかった。程々に満腹で心地好くなった我々はシュトラーセンバーン(路面電車)でホテルに帰ったのだった。今日もまた超ハードな旅程でオペラ鑑賞目標の「居眠りをしないこと」は実行できなかった。

エントランスロビーは開演前の活気に満ちていた。

吹き抜けの中央階段上部の装飾。

最上階からの眺め。

自席から天井を仰ぐ。

自席から後部を望む。

自席から舞台を望む。

終演のカーテンコール。

アウグスティナーケラーの入口、工事中で木枠が組まれているのが少し興醒め。

白ワインとこの料理で23ユーロ、そろそろ日本食が恋しくなってきた。

日本人と何をもって判断したのか、日本のメロディーをメドレーで演奏してくれた。

11時過ぎにレンガづくりの店を後にした。

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