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Solo+金管五重奏 第2曲「わが霊は、わが救い主なる神を喜び讃え奉る (Et exultavit)」

Solo+金管五重奏 第2曲「わが霊は、わが救い主なる神を喜び讃え奉る (Et exultavit)」
《マニフィカト》 ニ長調 BWV.243から
独唱、合唱、管弦楽のための
Magnificat, BWV.243

編成はTp.2本、Hn.、Tbn.またはEup.、TubaおよびSoloパートです。
演奏可能なオプションとしてSt.Bs.(Tuba)が同梱されています。
同梱のSoloパート楽譜はin F版(Hn.)、
in C版(Ob.、Mallet Perc.など)、
in C-Fl.版(Fl.、Pic.)、
in C低音版(Eup.、Bsn.、Tbn,、St.Bs.など)、Tubaは1オクターブ下げて演奏可能です。
in B版(Tp.、Cl.、Bs.Cl.、Sop.Sax.、T.Sax.など)、
in Es版(Es Cl.、A.Sax.、B.Sax.など)が含まれています。
多くの楽器がSoloを担当し、伴奏は下の編成も含め3種類から選ぶことができます。
サックス四重奏版、クラリネット四重奏版は発売中です。

祝祭に相応しい喜び溢れるバッハのアリアをさまざまな楽器の演奏で味わいたいものです。
コンサートピースの小品に、ぜひどうぞ。

Solo+金管五重奏 第2曲「わが霊は、わが救い主なる神を喜び讃え奉る (Et exultavit)」
《マニフィカト》 ニ長調 BWV.243から
独唱、合唱、管弦楽のための
Magnificat, BWV.243

編成はTp.2本、Hn.、Tbn.またはEup.、TubaおよびSoloパートです。
演奏可能なオプションとしてSt.Bs.(Tuba)が同梱されています。
同梱のSoloパート楽譜はin F版(Hn.)、
in C版(Ob.、Mallet Perc.など)、
in C-Fl.版(Fl.、Pic.)、
in C低音版(Eup.、Bsn.、Tbn,、St.Bs.など)、Tubaは1オクターブ下げて演奏可能です。
in B版(Tp.、Cl.、Bs.Cl.、Sop.Sax.、T.Sax.など)、
in Es版(Es Cl.、A.Sax.、B.Sax.など)が含まれています。
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アトリエ・アニマート・ショップ
https://animato.official.ec/

参考音源
https://youtu.be/ggbR32vR6NQ

Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCbc_7CUTWTYOuyu_WQcflxQ

アトリエ・アニマート楽譜ページ1/3

バッハ,J.S. Bach,J.S.
■マニフイカト ニ長調BWV243

神の使いの大天使ガブリエルによって受胎を告知されたマリアが「私の魂は主をあがめ,私の霊は救い主なる神を讃えます」と
喜びのうちに神を讃美した,という「新約聖書」ルカ伝第1章第46~55節に記された「マリアの賛歌」に付けられたのがこの曲です。
この「マニフィカト」は本来,カトリックの日々の日課としてのお祈り(聖務日課),特に夕べの祈り(晩課)のための音楽として
発達したものです。バッハ自身はカトリックではなく,ルター派プロテスタントだったのですが,この時代,ルター派でも,
ラテン語の「マニフィカト」はクリスマス,復活祭,聖霊降臨祭の3大祝日には,多声の音楽として演奏されるのが普通だったそうです。

というわけで,この曲の初演時にはクリスマスにちなんだ4曲の挿入曲がありました。
その後,第2稿ではこれらの挿入曲は除かれ,クリスマスのみならず,復活祭,聖霊降臨祭の晩課にも使われるようになりました。
今日,一般的に演奏されるのは第2稿の方です。この2つの版には,挿入曲の有無以外に調性の違いがあります。
第1稿は変ホ長調だったのに対して,第2稿はニ長調になっています。これは使われている楽器の違いにもよります。
第2稿では,トランペットがD管トランペットという輝かしい響きを持つものに変更されています。
この楽器を使うためにニ長調に移調されたと考えられています。その他,リコーダーがフラウトトラヴェルソ(フルート)に変更され,
オーボエ・ダモーレが加えられています。
いずれにしても,この曲は壮麗さと美しさをバランス良く兼ね備えた見事な作品です。
ポリフォニックな合唱曲の間にしみじみとした味わいを持つ声楽ソロのアリアなどがバランス良く配列されています。
声楽のみだけでなく,先にあげた輝かしいトランペットをはじめとして,フルート,オーボエなどオーケストラの各楽器にも
見せ場があります。時間的にも30分ほどにまとまっていますので,「バッハ入門」に最適の曲なのではないかと思います。

●編成
独唱(ソプラノ2,アルト,テノール,バス),5声部合唱(ソプラノ2部,アルト,テノール,バス),
フルート2,オーボエ2,オーポエ・ダモーレ2,トランペット3,ティンパニ,ヴァイオリン2部,ヴィオラ,
通奏低音(チェロ,ヴィオローネ,ファゴット,オルガン)

■合唱曲,■独唱,■重唱・・・とても規則的に並んでいます。
曲番号    曲名・ソロ等    調・拍子    内容
第1番    マニフィカト
合唱    二長調
3/4    D管トランペットの甲高く装飾的なファンファーレが印象的な全楽器によるリトルネッロ(繰り返し出てくるメロディ)が
出てきます。このメロディはブランデンブルク協奏曲あたりにありそうな感じです。この部分に続き,
合唱が喜びに満ちた神の讃歌を歌います。中間部ではポリフォニックな感じになりますが,全体としてはメリスマを交えた
ホモフォニックな響きが中心となっています。最後にリトルネッロがやや短く再現されます。この曲は終曲にも出てきますので,
この曲全体の枠組を作っているといえます。

第2番    エト・エクスルタヴィト
アリア(ソプラノII)    二長調
3/8    弦合奏と通奏低音による落ち着いたリトルネッロに続き,「私の霊は救主なる神を讃えます」と第2ソプラノがしっとりと
歌います。

第3番    クイア・レスペクスィト
アリア(ソプラノI)    口短調
4/4    オーボエ・ダモーレの独奏によるしみじみとした序奏に続いて,第1ソプラノが
「この卑しい女をさえ,心にかけてくださいました」と歌います。全編に渡り,オーボエ・ダモーレとソプラノが美しく絡み合います。
その哀しみに満ちた敬虔さが印象的です。この曲の後,休みなく第4曲になります。

第4番    オムネス・ゲネラツィオネス
合唱    へ短調
4/4    前曲から一転して,5声の合唱によって「代々の人々は」と歌われる壮麗なカノンになります。

第5番    クイア・フェチト
アリア(バス)    イ長調
3/4    通奏低音のみに支えられて「力ある方が,私に大きな事をしてくださったからです」とじっくりと歌う短いバスのアリアです。

第6番    エト・ミゼリコルディア
二重唱(アルト,テノール)    ホ短調
12/8    2本のフルートと弦の伴奏によって「その憐れみは代々限りなく」と歌われる抒情的な二重唱です。

第7番    フェチト・ポテンツィアム
合唱    ト長調
→二長調
4/4    「主はみ腕をもって力をふるい」と全合唱が力強く歌う順列フーガです。最後の方で一瞬休符が入り,緊張感が走ります。
その後トランペットも加わってドラマティックに盛り上がって終わります。

第8番    デポスイト
アリア(テノール)    嬰へ短調
3/4    「権力ある者を王座から引きおろし」とテノールが決然と歌います。弦楽器の清冽さも印象的です。

第9番    エスリエンテス
アリア(アルト)    ホ長調
4/4    「飢えている者を良いもので飽かせ」と息の長いメリスマを交えて歌われるアルトのアリアです。
ほとんど同じ主題による2本のフルートと通奏低音による可愛らしい感じのリトルネッロで囲まれています。

第10番    スシピト・イスラエル
三重唱(ソプラノI・II,アルト)     口短調
3/4    「主は,憐れみをお忘れにならず,その僕イスラエルを助けてくださいました」と落ち着いて歌われる三重唱に重ねて,
オーボエが「マニフィカト」の聖歌旋律(第9旋法)を印象的に演奏します。

第11番    スイクト・ロクトゥス
合唱    二長調
2/2    「わたしたちの父祖アブラハムとその子孫とを,とこしえに憐れむと約束なさったとおりに」と堂々と歌う,
通奏低音のみの伴奏による順列フーガです。素朴な力強さがあります。

第12番    グロリア
合唱    イ長調4/4
二長調3/4    壮麗な「グロリア」の叫びの後,持続音の上にカノンがわき上がります。「はじめにありしごとく」という
歌詞とともにトランペットが壮麗に加わり第1曲が短く再現されます。祝祭的に全曲をとじます。

 Johann Sebastian Bach
 1685~1750 ドイツ
 ヨハン・ゼバスティアン・バッハはバロック音楽の頂点を極めた巨匠にして、2世紀に亘り音楽家を輩出し続けたバッハ一族の
最大の音楽家。「大バッハ」の名でも呼ばれています。
 当時の最もすぐれたオルガン奏者で、即興演奏の名手でした。アルンシュタット、ミュールハウゼンで教会オルガニストを
務めた後、1708年ザクセンのヴァイマール公の宮廷オルガニストとなり、1714年には楽長に昇進します。
この時期に多数のオルガン曲を書きました。1717年にはアンハルト=ケーテン侯の合唱長および宮廷楽長として招かれ、
管弦楽・器楽曲を集中的に作曲しました。1723年にはライプツィヒの聖トーマス教会の付属学校の合唱長およぴライプツィヒの
音楽監督に就任、終生その地位にあり、カンタータ等の教会音楽を多く書きました。
 ドイツ・バロック音楽を集大成し、歌劇以外のあらゆる分野に名作を残した。ウィーン古典派の巨匠たちにも影響を与えたが、特に19世紀に再評価され、ロマン派から近現代に至る多くの作曲家に強い影響を及ぼした。
 膨大な作品はW・シュミーダーの『バッハ作品主題目録』(1958)によるBWV(Bach-Werke-Verzeichnis バッハ作品目録)番号で整理されている。

ヨハン・ゼバスティアン・バッハの作曲家としての活動は通常、
(1) ヴァイマール時代 (1708~1717)
(2) ケーテン時代 (1717~1723)
(3) ライプツィヒ時代 (1723~1750)
の3期に分けて考えられますが、最後の円熟期ライプツィヒ時代の開始を告げるのが、この名作《マニフィカト》です。
 バッハは1723年5月末にライプツィヒに移り、聖トーマス教会の楽長(トーマスカントル)として毎週1曲のカンタータの
作曲・練習・上演を含む多忙な毎日を送っていました。
 従来は、バッハが《マニフィカト》を書いたのは転職後最初のクリスマスのためで、ライプツィヒで教会での大規模な
奏楽が自粛されるクリスマス前の「待降節」第2~4日曜日(「斎戒期」)の暇な時期に、バッハは一連の新作と共に
この《マニフィカト》を作曲したと考えられていました。
 しかしグレックナーが2003年に発表した論考(1)によると、バッハは《マニフィカト》(変ホ長調の初稿、BWV.243a)を、
ライプツィヒ着任後わずか5週間後の1723年の7月2日の「エリザベト訪問」の祝日に初演し、好評を得ていたということです。
 クリスマスの際には、7月に演奏したものに、クリスマス用の“讃歌(ラウダ)”(ドイツ語ないしラテン語によるモテット風楽曲)を
4曲挿入し、クリスマス・バージョンとして演奏しています。

「マニフィカト」について
 「マニフィカト」とは聖母マリアが神を讃える褒ほめ歌で、『新約聖書』「ルカによる福音書」第1章46~55節に記されています。
処女懐胎を天使に告げられたマリアが、ナザレからユダの町に行き、親族エリザベツに挨拶すると、洗礼者ヨハネを身籠っていた
エリザベツは聖霊に満たされ、「あなたは女の中で祝福された方です」と叫びます。
マリアも感動のあまり神へのほめ歌を歌い始めた……という文脈の中で現れます。
 この褒め歌は東方教会に起源を持つが、9世紀頃に西方教会にも取り入れられ、ラテン語訳の詞文の冒頭語から
「マニフィカト(Magnificat)」と呼ばれるようになり、「カンティクム(讃歌)」(詩編以外の聖書から採られた韻文詩による聖歌)の
一つとして「聖母マリアの讃歌(Canticum Mariae)」とも呼ばれて礼拝で朗唱されるようになりました。
14世紀以降は多声楽曲として多くの音楽家が作曲しました。
 「マニフィカト」は東方教会では早課に用いられますが、西方教会では晩課(晩祷)(Vesperae)で歌われます。

バッハがラテン語の《マニフィカト》」を書いた理由
 「マニフィカト」はラテン語による讃歌ですが、バッハが信奉したプロテスタント派のキリスト教(新教)では
ドイツ語訳などの自国語訳が推奨され、受難曲やカンタータもバッハはドイツ語で書いています。
 ラテン語の《マニフィカト》に曲を付けたのは、特別な理由があったのでしょうか。

 当時ドイツに広まっていたプロテスタント派の教会では、確かに、誰もが理解できるドイツ語で信徒達が一緒にコラールを歌う
習慣になっていました(カトリック派キリスト教(旧教)の礼拝では聖歌隊員のみが、一般には理解困難なラテン語の聖歌を歌う)。
 ただそれは、ラテン語で歌うことが全面的に禁止されていたことを意味するわけではありません。
プロテスタント教会でもミサの最初の2章(「キリエ」「グローリア」)と「サンクトゥス」、そして「マニフィカト」は
ラテン語で歌われることも多く、特にクリスマスの晩課では「マニフィカト」はラテン語で歌われていました。
 バッハが赴任した新教都市ライプツィヒでも、朝の礼拝では「キリエ」と「グローリア」はラテン語で読み上げられ、
詩篇唱のメロディで歌われた。「クレド」はグレゴリオ聖歌をコラール旋律として歌われていました。
 「マニフィカト」についても、通常の日曜夕方に行われる礼拝(聖体拝領を伴わない)では、会衆はルターのドイツ語訳
「Meine Seele erhebet den Herrn」を歌いますが、重要なキリスト教の祝日、即ち、3大祝祭節
  ①クリスマス(降誕節)
  ②復活節
  ③聖霊降臨節(五旬節)
と、聖母マリアの3大祝日
  ①聖燭祭(Candelaria)(マリアの清めの祝日(Purificatio Mariae)、主の奉献の祝日(Praesentatio Domini nostri in templum))
  ②お告げの祭日(annuntiatio)(Festum Incarnationis)(Conceptio Christi)
  ③「聖母マリアの聖エリザベト御訪問(Visitatio B. Maria V.)」の祝日
の第1、2祝日の晩課(と言っても午後1時半頃から始まる午後の礼拝)には、伝統的なラテン語の歌詞により、
合唱、独唱、器楽合奏で、より大がかりな音楽を演奏する慣習がありました。
 バッハはこの町の習慣に従って、カントールの職責の一部として、《マニフィカト》を作曲したと言えます。

《マニフィカト》の改訂
 それから10年後の1733年頃、バッハはトマスカントール及び市の音楽監督の権限強化を巡って、ライプツィヒ市の評議会と
長い闘争を続けていました。そこで彼はライプツィヒの領主であるザクセン選帝侯から「宮廷作曲家」の肩書きをもらおうと、
熱烈なアプローチを繰り返していました。選帝侯じきじきのお抱え作曲家という地位を得られれば、ライプツィヒの評議員どもを
黙らせられるという計算だったのでしょう。
 時のザクセン選帝侯フリードリヒ・アウグスト1世は、ポーランド王位を得るため1697年にプロテスタント派からカトリックに
改宗していました。しかし民衆からは反発を受け、侯妃も出奔しました。そのため実際にはカトリック信仰は首都ドレスデンに
限って細々と行われ、市民権も認められていませんでした。
 1733年2月1日、このフリードリヒ・アウグスト1世が逝去し、長男フリードリヒ・アウグスト2世が選帝侯位を継承しました。
 先代フリードリヒ・アウグスト1世の喪の期間は、その年の六旬節の主日(2月15日)から、三位一体の主日後の4週目の
日曜 (6月28日)までと定められました。この期間は教会での一切の奏楽が禁じられました。
 この期間は、バッハにとって格好の創作に集中できる期間となりました。彼は、やはりカトリック信徒として育てられていた
後継者のフリードリヒ・アウグスト2世に対し、選帝侯が営むカトリック礼拝堂のために、ラテン語によるミサ楽章「キリエ」と
「グローリア」を作曲し、7月27日付で献呈しました。これは後に《ミサ曲 ロ短調》BWV232の前半に組み入れられるものです(後半楽章は1748~49年頃書かれる)。
 同じ1733年頃、バッハは1723年に作曲した《マニフィカト》の改訂も行いました。厳密な改訂時期は不明ですが、
バッハの自筆譜から1732~1735年の間と推定され、これも選帝侯に献呈されたと考えられています。
 なお、バッハの熱心な“アプローチ”は功を奏し、1736年に念願のザクセンの「宮廷作曲家」の称号を得ることが出来ました。

 改訂による《マニフィカト》の主な変更点は、以下のようなものです。
・初稿にあった4つの挿入曲の削除 …… 初稿には1723年のクリスマス祝賀用のドイツ語及びラテン語による「ラウダ(讃歌)」を4曲、
「マニフィカト」本文の間に挿入していた。これはクリスマスの雰囲気を盛り上げる一方、演奏機会をクリスマスに限定し、
また「マニフィカト」のラテン語本文が持っていた対称的シンメトリックな構造を壊していました。
「ラウダ」を取り除くことで、ラテン語の歌詞構造の美しさを取り戻すと共に、クリスマス以外の聖母マリアの祝日にも演奏可能な、
より汎用的な版となりました。
・主調を変ホ長調からニ長調に移調 …… 初稿では変ホ(Es)管のトランペットを3本用いていましたが、
当時、一般的なトランペットはD管かC管で、変ホ管を3本集めるのは極めて特殊でした。
また変ホ管トランペットで「マニフィカト」のパートを演奏するのは大変に困難です。そこでD管トランペットで普通に
演奏できるようニ長調に移調されたと考えられています。
・縦笛であるリコーダーを横型フルート(当時は木製のフラウト・トラヴェルソ)に変更 …… 第9曲での素朴な音色が
聞けなくなりましたが、全般的に響きは輝きを増し、演奏効果は高まりました。
 これ以外にも無数の個所に手を入れ、原形を留めているのは578小節のうち僅か98小節に過ぎません。
 こうした徹底的な改訂の結果、初稿版と改訂版はかなり性格の異なるものとなりました。即ち、
・《マニフィカト》 変ホ長調 BWV.243a (1723) …… クリスマス用。粗削りで刺激的な分、冒険的な性格に富み、
和声法がとりわけ大胆です。
・《マニフィカト》 ニ長調 BWV.243 (1723, 改訂'33頃) …… 特定の機会に限定されない普及版です。仕上げが丹念で
バランスが良く、耳に馴染み易く仕上がっています。

このアレンジは、
第2曲「わが霊は、わが救い主なる神を喜び讃え奉る (Et exultavit)」
 アリア ニ長調 8分の3拍子
 第2ソプラノ独唱 弦と通奏低音による3拍子の踊るようなリトルネッロに続き、ソプラノが同じ主題で
「exsultavit(喜び踊る)」と軽やかに歌いだします。
 通奏低音に聴かれる「長・短・短」、跳ねるようなリズム型は、他のバッハの作品でも現れ、バッハの研究でも知られる
オルガニストにして神学者の人道家シュヴァイツァーが「喜びのリズム」と名付けたものです。
 ソプラノは、第1ヴァイオリンや通奏低音の「喜びのリズム」に伴われ、清冽に歌い進められます。

アトリエ・アニマート
https://animato-jp.net/

  2022/04/03   animato
≪ クラリネット五重奏「愛の悲しみ」クライスラー  |  木管五重奏「無言歌集」第8巻 Op.102より第3番「タランテラ」ハ長調 ≫