アマチュア楽団における実践的指揮法の補足

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補足1)図形の中央と体の中央は一致していること。右端で振ることで左側の奏者にとって見づらい指揮になってしまう。

補足2)曲の始まりに空振りを何拍も見せられる指揮によく出くわします。聴衆の緊張感を殺ぐので感心できません。奏者の緊張感を集めながら最小の予備拍(通常は1拍のみ)で始めたいものです。ブレスの効果的な併用は歓迎できます。

補足3)指揮棒を構えて曲を始める前の「間」は適切な長さでありたいものです。長々と構えたままの姿勢で聴衆を待たせることは悪印象です。そのような状態に陥らないためにも奏者の準備完了を確認してから棒を構えます。

補足4)原則として棒の先端が指揮者の頭上より後(聴衆側)になるような振り上げは行わないことが肝要です。

補足5)図形の大きさは目安として自分の肩幅を基本とした正方形の中で描くものとします。音楽エネルギーの強さやその変化は図形を小さくすることでdim.を表現できますし、大きくすることでcresc.を表現できます。指揮台の許す範囲で前後に指揮者の位置を変えることでも強弱を表現できます。

補足6)図形だけでなく左手の甲を奏者に見せることによってcresc.を表現できます。逆に手の平を見せることによってdim.を表現できます。

補足7)左手で特に表現する必要のない場面では左手を腹部のやや上で待機させます。

補足8)不必要な膝の屈伸はみっともない姿に見えます。上半身で勝負する心構えで指揮をしたいものです。極端にしゃがんだりすることも禁物です。

補足9)6拍子を3+3、5拍子は2+3や3+2に分けて振ることもありますが、あまり美しくありません。難解な楽曲を除いて本番では避けたいものです。

補足10)7拍子や9拍子はテンポによって変形3拍子(2+2+3など)で振る方が容易に理解されやすいと考えています。

補足11)合奏が大人数になれば指揮者は意識的に横長の図形を振る必要が生じます。特に左右(第1バイオリンなど一番聴衆側の奏者)の位置からも拍数を容易に判断できるよう配慮が必要です。打点を中央に集めた指揮は見づらいこと極まりなしです。

補足12)「はね上げ」や「先入」の技法も多用は禁物です。効果的に用いたいものです。

補足13)レガート表現は打点を隠した振り子のような運動で滑らかに描きます。

補足14)与える必要のない拍を空振りする(奏者が全員全音符を奏している時など)のは避けます。

補足15)アクセントやsfなどは手首に頼らず肩や体全体で表現します。もちろん図形内の該当する拍を変形させて強調することもできます。ケースバイケースで臨機応変に。

補足16)rit.などでテンポを急速に緩めたい時には「分割」の技法を用います。滑らかさを欠いてしまいますので多用は禁物です。

補足17)すべての指示は1拍前に行います。3拍目にsfが欲しければ2拍目を強く与える必要があります。同じく次の小節がsubito pであれば、4拍目は弱く小さく振ります。つまりauftact(アウフタクト)の表情が次の音楽を強く支配するのです。

補足18)曲想表現は体全体で行います。maestoso(荘厳な・堂々とした)は胸を張って、lamentoso(悲しげな・痛ましく)は肩を落として....などなど。

補足19)奏者が先走ったテンポの場合は「止め」の技法や後棒(アトボウ)、遅れる場合には「はね上げ」気味に振るか先棒(サキボウ)でコントロールします。

補足20)聴衆と共有したい音楽的動作と見えて欲しくない動作を識別しながら振るよう心掛けます。後者の動作は指揮者の胸元で手首より先の表現で奏者にだけ与えるようにします。
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2003.10.4

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