西洋音楽の歴史9

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古代からルネサンス音楽
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■■ルネサンスの音楽

 l4世紀ごろからl6世紀ごろにかけて西ヨーロッパに起こった精神的・文化的運動がルネサンスである。「自然と人間の発見」という思想に基づき,直接にぱギリシャとローマの古典の復活という形をとってこの運動は進められた。音楽におけるルネサンスの始まりをいつとするかには諸説あるが,一般には他のジャンルよりl世紀ほど遅れたl5世紀前半からとすることが多い。しかしl4世紀において北部イタリアの諸都市を中心に栄えた世俗的な多声音楽(例えばマドリガルやカッチャ)には,恋愛詩や田園詩が中心的な題材として扱われており,ここにルネサンスの目ざした人間性の回復という傾向を見ることはできる。そしてイタリア音楽の隆盛がアルプスを越えてフランスにも浸透し,そこにイギリスからの影響も加わって,全ヨーロッパ的な規模での音楽の発展が見られるようになったのである。そのころからフランドル地方(今日のベルギー,オランダ)出身の作曲家の活躍が目覚ましくなり,声楽ポリフォニーを中心とする対位法技法の進歩と充実が顕著になった。またリュートやオルガン,あるいはクラビコードやハープシコードなどによる器楽も盛んになり,音楽が全ジャンルにわたって発展するようになっていった。

 

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