西洋音楽の歴史10

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古代からルネサンス音楽
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■■フランドル楽派

 楽史の上で一般にフランドル楽派と呼ばれているものは,l5世紀からl6世紀前半にかけて活躍したフランドル地方出身の作曲家による活動である。代表的な作曲家には,オケゲム(l4l0?一l497?),オブレヒト(l450?一l505),ジョスカン・デプレ(l440?一l52l),ラッソ(l532?一l594)などがいる。オケゲムによる初期フランドル楽派の音楽には,デュファイ(l398一l474)やバンショア(l400?一l460)に代表されるブルゴーニュ楽派の影響が色濃く見られる。これに続くジョスカン・デプレの音楽では,通模倣様式が確立され,また声部の独立性も著しく高められて,対位法音楽のより完壁な作曲技法が完成されていく。そしてその過程を通してみると,音楽が宗教的もしくは教会的な性格から,音楽自体の芸術性(つまり自律性)へと向きを変えていったことがうかがわれる。l6世紀の後半には,ラッソによってこの楽派最後の活気ある音楽活動が繰り広げられた。ラッソは生涯に2000曲近い作品を書いたといわれるが,それらを通して言えることは,彼の音楽は表現白体に深い内面性を持ち,情緒性を拡大し,劇的性格を強く表し始めているということである。

 

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