西洋音楽の歴史8

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古代からルネサンス音楽
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■■アルス・ノヴァ(新芸術)

 キリスト教会における典礼式の音楽が整えられにしたがって,それを書き表すための楽譜の必要性が生じた。ネウマ譜に始まる記譜法の歴史,定量記譜法の時期を経て,やがて現代のそれ結びついていった。そしてそれと同時に,教会法が安定した音組織として使用され,しだいに楽としての存在形態を内容・形式ともに確立しいったのである。そうした変遷の過程を経て,世紀の初めには,ビトリ(l29l-l36l)やギョーム・ド・マショー(l300?-l377)らによる新しい傾向の音楽が生まれた。これをビトリの著書名にちなんでアルス・ノヴァと呼んでいる。この言葉はl4世紀全体の音楽を指して使われることもある。

アルス・ノヴァの音楽史的意義は,定量記譜法の発達に促されたポリフォニー技法の精緻化と,宗教性から世俗性への変化という二つのことに絞って考えることができる。当時の代表的な形式であるモテットにも,世俗的な詩が用いられるようになっていた。

 

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