西洋音楽の歴史6

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古代からルネサンス音楽
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■■ポリフォニーの発生

 ローマ教会における典礼音楽のうち,もっとも重要なのがミサと聖務日課である。それ自体は音楽ではなく,教会の内部で行われる儀式のことてあるが,その執行に際しては音楽が重用されていたので,音楽史の立場からはそれについて言及していくわけである。詩篇を朗誦風に歌う素朴な単旋律の音楽に始まったグレゴリオ聖歌は,ミサや聖務日課が形式化されるに伴い,しだいに複雑になっていくが,やがてそれにオルガヌムと呼ばれる重音技法が加わり,ポリフォニックな音楽へと発展していくのである。ほぽ9世紀ごろのことである。この技法はさらに進歩して,l3世紀の初めごろには,ノートル・ダム楽派と呼ばれる一群の作曲家たちによる作品に,ポリフォニー音楽の初期的な完成を見ることになる。

 

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