西洋音楽の歴史51

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近代・現代の音楽
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■■20世紀のドイツ音楽

 すでに述べたように,20世紀初頭におけるドイッでは,ワーグナーあるいはブラームスの流れをくむ作曲家による音楽活動が行われていたが,その中でもっとも長命で,第二次大戦後まで作曲界の事実上の第一人者であったのがR.シユトラウスである。しかし彼の音楽には,確かに現代的な手法も見られるが,その語法はあくまでもドイツ後期ロマン主義を進展させたものにすぎなかった。そういう意味では,彼はあくまでもl9世紀的な作曲家と言うこともできる。それに対してヒンデミット(1895一1963)は,もっとも20世紀的な意味での重要性を持つ作曲家である。初めは演奏活動を主体にしていたが,1922年にドナウエッシンゲンの音楽祭で作品が演奏されてからは作曲に重点をおくようになり,教育面でも大きな功績を残した。特に,彼の提唱した実用音楽というのは,音楽を大衆の中に持ち込むことを目的としたもので,その時点における重要性を見逃すことはできない。なお,ナチ政権の台頭によってドイツでは多くの音楽家が国外に亡命したが,このことは次に説明するソビエトの場合と同様に,この国の音楽を貧弱なものにしてしまった。

 

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