西洋音楽の歴史48

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近代・現代の音楽
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■■ストラヴィンスキーの音楽

 ストラヴィンスキー(l882一l97l)は,l9l0年6月にパリのオペラ座で上演されたロシアバレエ団による「火の鳥」の音楽を担当したことで,世に出るチヤンスをつかんだ。ロシアバレエ団によるパリ公演は,l911年の「ベトルーシユカ」,1年おいた13年の「春の祭典」と続くが,いずれもストラヴィンスキーが音楽を担当し,それによって彼は,早くも楽壇における巨匠としての地位を築き上げてしまった。出世作となったこれらの作品に見られるストラヴィンスキーの音楽の特色は,ロシア的な民族主義を,原始的なリズムと強烈なまでの色彩感によって味付けし,それを西欧的な知性によって支えたところにあり,当時パリに起こっていたフォビスム(野獣主義)への強い類似が認められる。しかし,第一次大戦後は新古典主義へと転換し,当初の鋭さはいくぶん失ったものの,その個性的な音楽は20世紀の音楽を推し進めていく上で極めて大きな役割を果たした。

 

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