西洋音楽の歴史33

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後期ロマン派の音楽
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■■19世紀後半のオペラ

フランス

 トマ(l8ll一l896)の「ミニヨン」,グノー(l8l8一l893)の「ファウスト」や「ロミオとジュリエット」などが作られていた。彼らの作風はグランドオペラとオペラコミックの中間をいくようなもので,さほど深みがあるわけではないが,叙情的で口当たりがよい。劇の筋書きには極めてロマン的な題材が用いられ,多くが合唱やバレエをふんだんに取り入れた壮大な形式で書かれている。

 この時期のフランスのオペラでもっとも生気あふれる作品といえば,ビゼー(l838一l875)の「カルメン」であろう。異国的な情感,生き生きとしたリズム,しなやかでいて力強い旋律,大胆な不協和音など,いずれも彼の豊かな才能を示しており,彼がこの一作で後世に名を残していることもうなずける。オペラコミックに悲劇的な幕切れを持ち込んだことも斬新であった。

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