西洋音楽の歴史24

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前期ロマン派の音楽
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■■前期ロマン派時代のオペラ界

 イタリアのオペラは,l8世紀前半のA.スカルラッティの活躍以後はあまり振るわず,パイジエッロ,チマローザ,ケルビーニなどの二流の作曲家がわずかに伝統を保持していたにすぎなかったが,l9世紀に入ると,ロッシー二(l792一l868),ドニゼッティ(l797一l848),ベッリーニ(l80l一l835)らが現れて,パリを中心に優れたイタリアオペラを発表した。この時期のフランスには,ボイエルデユー(l775一l834)やドイツ人だがフランスで活躍したマイヤーペーア(l79l一l864)などが出て,いわゆるグランド・オペラを盛んに作っていた。ドイツにウェーバー(l786一l826)が出たのもちょうどこのころである。オペラといえばほとんどがイタリア的な伝統を踏襲していた時代に,彼はドイツ的な民話を題林に,ドイツ語の歌詞を使って,ドイツ的なロマン主義音楽によってオペラを作った。「魔弾の射手」に代表される国民歌劇の創始によって,ロマン主義の音楽が開花していくことを考えると,ウェーバーの功績は極めて大きな歴史的意義を持っていると言えよう。

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