2001夏・自分再発見!北海道縦走2500km

「出発から海路へ」の巻

10代の頃から北海道はバイク天国だと知っていた。筆者のバイク履歴は15歳に遡る。かれこれ10年前くらいから仕事一筋の生き方を転換する必要性を意識し初めた。京都生まれの京都育ち、山に囲まれた安心感を無意識層に持って大きくなった。これが普通の景色であり、家族のために仕事に精を出し、より仕事上の専門性を追及する一極集中型の人生を振り返ったとき、ふと疑問が心の深いところから湧き上がってきた。仕切られた襖を開けるのは自分の手でなければならない。


時間の隙間を縫って入念な準備を楽しみ、待ちに待った当日。8月12日午後3時に同級の相棒と二人で京都の自宅から舞鶴まで3時間の道程を行く。深夜の出港で疲れ、はっと目が覚めればそこは大海原。吹く風を心地好く体いっぱいで受け、ようやく心が日常から解き放たれ始めた瞬間。既に10代の少年に戻っていた。


どんどん離れていく日常、携帯電話も筆者を日常に引き戻すことは出来ない。もう戻れないという快感が体中にみなぎっていく。


波を切り、目指すは天国か、はたまた地獄か。決して気楽な観光旅行ではないはずである。


大海原の空を染めながら日本海に沈む夕日。丸一日の航海で、いよいよ明日の早朝は小樽上陸だ。「寝だめ」をしようとしても逸る心がそうはさせない。

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