気まぐれ遍路ツーリング-9

 西祖谷と言えばかずら橋を通過することはできない。何せ人でごった返している。四国の観光地でこれ程までに高い人口密度に初めて出くわした。当惑しながらも傍までバイクで行くことができた。一応押さえておかねばとの本能だけでカメラを肩に歩きだした。

 かずら橋を出て東祖谷に向かうと一気に静けさが戻った。しかし、そこで燃料警告燈が点灯したのだ。この先は剣山を降りるまで集落は無い。不安のうちに東祖谷の二重かずら橋でパトカーに出会った。すかさず残り何キロかを尋ねる。すでに25kmは走っているが、木屋平村まではあと25kmあると言う。かなりの勾配で登っていく峠道を6速で燃費走行。時速30kmを下回るとノッキングを起こすので前の車を気にしながら静かに定速走行を続けた。峠には剣山の登山口が開かれ5/1とは今日のことである。時間があれば是非登ってみたかったが、精神的にも落ち着かない。早くスタンドまで到達せねばと下り始めた。

 木屋平村側は先程にも増して絶壁が続き、路面の至る所に窪みと落石がある。もちろん1車線の狭い道だ。これまでにも1車線の国道は通過してきたが、これが国道かと疑うほどにひどい状態である。秘境そのものを心細く下るしかなかった。幸いスタンドまで無事に到達、徳島には18時30分に着くことが出来た。

 20時発のフェリーに乗船することはできたのだが、京都まで戻る力が残っていない。おまけに往路の乗船券を提示しても180円の値引きに肩を落とした。22時に和歌山着、三泊目の野営をして翌日(5/2)早朝に無事帰宅したのだった。


平家ゆかりの「かずら橋」


これもまた平家ゆかりの「琵琶の瀧」


かずら橋の下では観光客が清流を楽しんでいた


警察官にスタンドを尋ねると25km先だと言われる


6速のみの燃費走行には少々きつかった剣山の登り道


峠のトンネルを抜けると木屋平村側の絶壁だった


20時に徳島港を出て和歌山には22時着

 この旅を終えて振り返る時、またもや日程にそぐわない計画を断行したことを悔いたのだった。四国だからこそ余裕をもって長閑かな旅にすべきであったかも知れない。次回こそ、のんびりツーリングを実現させたいと心に誓った。

 それでも四国については、おおよその表情を知ることができた。今回は通過してしまった場所をはじめ、石鎚山や剣山への登山、美しく青い川や海岸での野営など四国の魅力をもっと奥まで味わうチャンスを得たいと次の機会を探ってみたい。

 「青い国 四国」かつて、国鉄が四国のキャンペーンに使っていたコピーだ。筆者にとっては、この言葉からリンクする「海を渡れば異文化の地がある....」といった雰囲気を今もなお確かに四国が持っていることを実感した旅だった。

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