15.阿寒湖畔にて

阿寒国立公園は森と湖と火山の総合美を特色とする公園で、阿寒湖を中心とする阿寒カルデラと川湯温泉や屈斜路湖・摩周湖を包含する屈斜路カルデラとによって構成されている。自然美豊かな公園ではあるが、それ故に人間の歴史は浅い。

阿寒国立公園は、昭和9年12月4日、大雪山や日光などの国立公園とともに日本で二番目に指定された国立公園だ。総面積90,481ヘクタールで、釧路、十勝、網走、根室の各支庁にまたがり、千島火山帯の活動によってできた阿寒、屈斜路、摩周の三つのカルデラ湖を主体とした森と湖と火山に代表される原始的景観の豊かな国立公園だ。

公園は大きく分けて、西側の阿寒湖を中心とした地域と東側の屈斜路湖や摩周湖を含む地域に分けられ、この両地域がそのあいだの原生林を縫う「横断道路」でつながっている。川湯温泉を中心とした東側の地域は約三万年前に生まれた屈斜路カルデラの中に展開している。高い透明度を誇る摩周湖、凄絶な爆裂火口を見せる摩周岳、周囲の峠からの眺めが素晴らしい屈斜路湖、山麓にイソツツジの大群落を擁する硫黄山など、見どころも多く、整備された道路て結ばれている。このような北海道ならではの景観を求め、年間5百万人を越える観光客が訪れる。

屈斜路カルデラは、北部の藻琴山につづく稜線を外輪山として、その規模は長径約26キロ、短径約20キロに渡る。九州の阿蘇のカルデラに並ぶ世界有数の大カルデラだ。それは、約三万年前、それまで激しい爆発を繰り返していたいくつかの火山が大量の噴出物を放出し、地下のマグマの圧力が低下して陥没したものだ。

その後、屈斜路湖カルデラの東側に摩周カルデラが形成され、屈斜路湖の中島や和琴半島、川湯の硫黄山、帽子山、かぶと山、摩周湖のカムイシュ島(中島)や摩周岳などが、カルデラの中心部や周辺部に生じ、約二千年前にほぼ現在のような地形になったと考えられている。

北海道を語るとき、忘れてはならない開拓以前の歴史と風土である。本土からの開拓民よりもずっと前からこの地を生活のフィールドとしていた人々の文化を語らなければならない。このアイヌ・コタン(人々の住む集落)は道内最大級である。古式舞踊を見ることもできる。温泉街にも木彫りの土産物が所狭しと並んでいる。人なつっこいトークにも自信と誇りがにじんでいた。

阿寒湖畔に位置する北海道最大のアイヌコタン(アイヌ集落)

アイヌの人々は木彫りに卓越している

お土産屋さんが軒を連ねる

天然のまりもを見ることができる

メロンも北海道の特産物だ

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