ゼロ・ビートの再発見

平島 達司『ゼロ・ビートの再発見』(1983)東京音楽社

私達が音楽に出会って美しいと感じる要因のひとつに正確なピッチとハーモニーがあります。学校音楽におけるハーモニー指導には相当の研究と労力を要します。電子チューナーの普及によって「正確なピッチ」が習得し易くなりました。しかし、ハーモニーとなると、単にユニゾンや、オクターヴのピッチを揃えるだけに留まらず、純正律による唸りのない響きを、理論的で実践的に教授しなければなりません。著者は「純正律とは五度と三度を純正に取る音律」だとしています。自然倍音列を理解し、旋律的であったり和声的であるという音律の使い分けが柔軟に行える力を、指導者と演奏者双方が持たなければなりません。本書は専門知識の習得に欠かせない一冊です。

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