西洋音楽の歴史39

-------------------
後期ロマン派の音楽
-------------------

 

■■19世紀後半の他の諸国の音楽事情

 この時期における各国の音楽事情は,終局的には国民主義的な傾向と一致することになるが,ここでは次項において説明する国家以外の諸国について,考察を加えておくことにしよう。

 フランスの隣国スペインには,アルベニス(l860一l909),グラナドス(l86フーl9l6),フアリヤ(l876一l946)などが出て,民族色の濃い作品を書いているが,ファリャあたりは,むしろ20世紀の作曲家としてとらえたほうがよいだろう。

 バルカン半島の諸国家では,ルーマニアにヴァイオリン奏者としても知られるエネスク(l88l一l955)がおり,ハンガリーにはE.ドホナーニ(l877ーl960)がいるが,年代的には20世紀前半の人として考えることができる。ポーランドには,やはりヴァイオリン奏者として名高いヴィエニヤフスキ(l835一l880)や,不世出のピアニストとして知られ,一時期大統領を務めたこともあるパデレフスキ(l860一l94l)などがいる。海を渡ったイギリスには,近代イギリス音楽の基礎を築いたエルガー(l857ーl934)がおり,音楽事典で有名なグローブ(l820一l900)もこの時期の人である。大西洋を隔てたアメリカでは,まだ建国して日の浅いこともあって,この世紀の前半では見るべき活動はなかったが,有名なフォスター(l826一l864)の残した歌曲は,今もなお愛唱されている。世紀の後半では,マクダウェル(l860一l908)が大いに活躍していた。

 戻る    次へ