西洋音楽の歴史26

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前期ロマン派の音楽
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■■メンデルスゾーンの音楽的特徴

 メンデルスゾーン(l809一l847)は劇音楽「真夏の夜の夢」やピアノ曲「無言歌集」,交響曲「イタリア」などで広く親しまれている作曲家である。彼はホ短調のヴァイオリン協奏曲に端的に表されているように,甘美な旋律を作り出すという点においてはたぐいまれな存在であった。しかし音楽語法という点からは,この後に続くシューマンあたりと比較してみると,はるかに古典的な理念の持主であった。形式の中でのロマン性というのがメンデルスゾーンの特徴であった。人によっては,彼を単なる甘美なだけの作品を書く二流作曲家と評するのも,形式への指向が彼の持つロマン性の伸長を妨げていたからかもしれない。

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