西洋音楽の歴史12

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古代からルネサンス音楽
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■■世俗的歌曲とコラール

 教会音楽が極めて高度な発達をしていくかたわら,世俗的な歌曲もしだいに近代的な様相を示すようになった。この時代の世俗歌曲は,教会音楽と同じく,主としてボリフォニーの技法によっていた。イタリアではフロットラ,ヴィッラネッラ.マドリガル,またフランスではシャンソンが,ポリフォニーの発達に伴って盛んに書かれたのである。

 またl6世紀のドイツでは,ルターによって宗教改革が行われたが,彼が聖書をドイツ語に翻訳するとともに,一般会衆のためにコラールを作ったことは,音楽史の上にも極めて大きな意義を認めることができる。コラールでは,礼拝に参加した人が誰でも歌えるようにと,歌詞にはドイツ語を用い,グレゴリオ聖歌や民謡,あるいは世俗的な歌曲の旋律を最上声部におき,下声部はそれを和声的に支えるという形の,簡単な四声体の合唱曲という形がとられている。教会旋法によってはいるが,その扱いには全音階的な面も見られ,極めて和声的であって,ここにも和声音楽への歩み寄りが認められる。

 

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