ドゥカーレ宮殿・サン・マルコ寺院がこの街の中心だ。そこを離れサン・マルコ地区のみだが歩いてみることにした。残り時間は1時間足らず、集合に遅れるわけにはいかない。せめてリアルト橋までは行きたいものだ。
地図上で見ると、ヴェネツィアの中心地に位置しているリアルト橋。サンマルコ広場が政治と宗教の中心地であるのに対してリアルト橋一帯は経済の中心地であった。現在でも生鮮市場、魚市場、土産物店がぎっしりと軒を連ね、観光客だけでなくヴェネツィア人たちも集まる界隈だ。12世紀までは橋と言えるものではなく、船をつないだ渡り廊下のようなものが設置されていたようだ。16世紀までの間に何度か木の橋が架けられたが、崩れたり火災に遭うなどで、現在ある石の橋は16世紀末に建築家ダ・ポンテによって設計されたものだ。橋は3列に分かれ、大運河を見渡せる両側の通路と中央には店が建ち並んだ中央通路がある。
迷路のようなヴェネツィアの町並みに翻弄された後半30分、戻れるのか不安になったが見覚えのある「ため息橋」に助けられた思いであった。そんな迷子の中でもシャッターを切り続けながら、何とか昼食にありつけたのだった。