ぞうきくらぶ

―薪ストーブ―

 2005年2月、京都議定書*注1が発効しました。そこで地球環境を考えるだけでなく具体的で実行可能な行動を起こすため、バイオマス燃料*注2としてのエネルギー資源を積極的に利用したいと考えました。安価な輸入木材が台頭し今では、十分に管理されない荒れ果てた山が日本各地に広がっています。そもそも植物は光合成によってCO2(二酸化炭素)を体内に有機物にして蓄えるので、エネルギー資源としてバイオマス(薪)を利用しても、大気中のCO2量は増加しません。この自然循環型エネルギーの利用を実践できれば地球環境の改善に微力ながら寄与できるのではなでしょうか。そんなことを考えながら「ぞうきくらぶ」と銘打った企てを始めることにしました。


輻射熱は体の芯まで温めてくれる

雑木調達 薪ストーブ生活サポート(自社企画) ログハウスと薪ストーブ

 こんな思いで始めた薪ストーブライフを紹介します。関西地方では滅多にお目にかかれないのですが2004年11月にホームセンターで見つけたブリキ製の薪ストーブと106mmの煙突を約10000円で購入。3カ月の使用で底面が変形してきました。それをきっかけに2005年2月18日にクリーンバーン方式を採用した鋳物製の薪ストーブ(HT-402)を58000円で購入しました。どちらもホンマ製作所の製品です。


鋳物は立ち上がりに時間がかかる

基本スペック

本体サイズ W395xD650xH520mm
煙突径 φ106mm
煙突設置位 上部
本体重量 89kg
火室サイズ 300x450x370mm
熱容量 約6.88kW
暖房面積 約25坪
最大薪長さ 38cm
付属品 灰受け・目皿・刷毛・補修用塗料・ボルト、ナット

クリーンバーン

薪燃焼で発生する煙に含まれる微粒子CO・タールなどの不純物を再度燃やす機能をクリーンバーンといいます。触媒を採用せずストーブ自体の構造に改良を加えてあります。薪を燃やすための一次、二次空気に加え、ストーブ背面より三次空気を取り入れ不純物を三次燃焼させる燃焼方法です。三次空気はストーブ底面から背面を通りながら暖められ、エアーシャワーのように燃焼室に導かれ微粒子・CO・タールなどを三次燃焼させます。このため煙突からの煙を最小限に抑え、燃焼効率(燃費)を高めることが出来ます。

 燃料は専ら近くの林道整備のために伐採された雑木で賄います。杉や桧の間伐材を森林組合の方から頂くことも可能ですが、針葉樹は火持ちが悪く高温になるため広葉樹のみを分けて頂いています。もともと朽ちてCO2を排出していく不要な雑木で暖房することは化石燃料(灯油)を使わない点で地球環境に優しい自然循環型生活に一歩踏み出したことになると考えています。


我が家の薪

 雪深い北国や山小屋ならともかく、京都では気温が最低でも零下5度以上下がることはありません。また雪などの天候不良で薪調達が長期間出来ない状態も通常では考えられません。そのため、薪の備蓄は3m幅×2m高程度で十分です。一日に6時間焚いて1カ月分はあるでしょう。


備蓄量は限られる

 雑木の調達は楽ではありません。週末は調達のために時間が必要ですし、ストーブ回りのメンテナンスも大変です。住宅地の中でもあるのでクリーンバーン方式で周囲に迷惑をかけない十分な排煙対策かどうかも課題です。それらの課題を克服しながら雑木を愛好し、石油*注3から脱却する自然循環型生活者の実践を少しずつ紹介できればと思っています。ご意見などがございましたらお聞かせください。


*注1
1997年12月に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3、京都会議)では、先進国及び市場経済移行国の温室効果ガス排出の削減目的を定めた京都議定書が採択された。ここでは温室効果ガスの排出量を先進国全体で2008年から2012年までに5.2%削減することが約束された。2001年に米国のブッシュ政権が議定書に対して反対を表明し、存亡が危ぶまれたが、7月のCOP6再会会合で二酸化炭素の森林吸収分を認めるなどの修正案を日本を含む参加各国が受け入れて合意した。この京都議定書は、21世紀以降、地球温暖化問題に対し人類が中長期的にどのように取り組んでいくのかという道筋の第一歩が定められたものとして高く評価できる。
 
*注2
生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、一般的には「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」をバイオマスと呼んでいる。例えば、焚き火に使う薪などの木材資源もバイオマスであり、オリーブオイルや天然ゴム、木炭などもバイオマスといえる。昔はエネルギー資源といえば、木や草などのバイオマスしかなかった。しかし、産業革命をもたらした石炭や石油・天然ガスの発見から、急速に文明が発達し、一方で手間のかかるバイオマスエネルギーは次第に利用されなくなってきた。石油や石炭は限られた資源であり、便利さの反面、環境問題を引き起こす原因でもある。化石燃料に代わると期待されていた原子力エネルギーでは、事故が起こると大変な環境問題に発展してしまう。我が国では、石油やウランなどのエネルギー資源をほぼ全てを輸入に頼っている。我が国は、国土の60%が森林に覆われ、森林資源という非常に豊かなバイオマス資源を持っている。

*注3
2004年現在で地球は一日当たり約8000万バレルの石油を消費している。石油を燃料として消費するほか、洋服などの繊維やプラスチックなどの化学製品も石油から作られる。また農林水産業で収穫を得るためにも石油が使われている。
農作物にはメタンやエチレンなどの炭化水素系の肥料が使われ、アメリカで肉牛を育てるための飼料を生産するトウモロコシ畑での化学肥料や農業機械の燃料代などを石油に換算すると、牛肉1キロ当たり7リットルの石油を使っていることになる。
このように石油の需要は世界中で増えているが、中でも1位のアメリカは世界の石油総生産量の25%を世界の人口の約5%のアメリカ国民が消費している。これは2位の日本に対して3.7倍の消費量である。日本などの国ではガソリンに高率の税を課しているのに対し、アメリカでは1リットルあたり平均10セント(約12円程度)とガソリンが非常に安い。
そのためガソリンを湯水のごとく使用するライフスタイルが定着し、アメリカでは燃費の悪い巨大な四輪駆動車が好まれている。石油自給率がほぼゼロの日本でも、アメリカと同じように大型の四輪駆動車やミニバンがRV車と呼ばれて人気を博している。
1978年にイランで革命が起こり、イランからの石油輸出が止まったため石油価格が高騰するという第二次オイルショックが到来した。しかしアラスカ・メキシコ・北海などペルシャ湾地域以外の新しい供給源の開発により原油生産量が増加し原油価格は安値で安定したことによって、一層多くの石油を使う生活に戻っていった。
「石油の世紀」は確実に終わりに近づいている。安い石油を湯水のごとく消費する生活は長続きしない。今後は石油を採掘するための資本と労力を石油以外のエネルギーに転換するために費やすべき時期が訪れている。

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